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マルチオミクスを活用したがん悪液質の理解

Multi-omics approach to understand cancer cachexia
北條広朗,水野 林,河岡慎平
Hiroaki Hojo/Rin Mizuno/Shinpei Kawaoka:Kyoto University, Institute for Frontier Life and Medical Sciences, Inter-Organ Communication Research Team(京都大学ウイルス・再生医科学研究所 臓器連関研究チーム)
10.18958/6569-00001-0000912-00

がんはどのようにして個体を死に至らしめるのだろうか.この問題を考えるとき,がん悪液質という概念を避けて通ることはできない.がん悪液質はがんに起因して起こる全身性の代謝障害の総称である.がん悪液質が個体に与えるインパクトはきわめて大きい.QOLや治療感受性を低下させ,生命予後を悪化させるのだ.現時点では,がん悪液質を強力に抑制する方法はない.がん悪液質の全体像がよくわかっていないためだ.本稿では,マルチオミクス計測をもちいてこの重要な問題を解決しようとする諸研究について概説する.

がん悪液質,臓器連関,トランスクリプトーム,メタボローム,エンハンサー遺伝学

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