実験医学増刊 Vol.24 No.10

分子メカニズムから解き明かす

疾患のサイエンス

癌,循環器,生活習慣病,アレルギー,神経変性疾患など,あらゆる疾患の全容と臨床応用の可能性に迫る

  • 深水昭吉/編
  • 2006年06月15日発行
  • B5判
  • 214ページ
  • ISBN 978-4-7581-0271-1
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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疾患研究の決定版!あらゆる疾患研究の最新動向をこの一冊に凝縮!シグナル伝達,ゲノム,転写,修飾など,様々な側面から疾患の分子メカニズムにアプローチ.基礎研究者はもちろん,臨床医も必読!

目次

概論:疾患のサイエンス:発症の分子メカニズム解明へ向けたストラテジー【深水昭吉】

  • 高次生命系の機能進化
  • 疾患のサイエンス
  • 特異性と多様性

第1章 癌

1. ネクチンとネクチン様分子Necl-5による細胞の運動・増殖・接着の制御とがん【南 有紀子,池田わたる,高井義美】

  • 細胞の運動と増殖におけるNecl-5の機能
  • 細胞間接着形成と極性形成におけるネクチンの機能
  • 細胞の運動と増殖の接触阻害におけるネクチンとNecl-5の機能
  • がんにおける極性形成や接触阻害機構の破綻

2. DNA損傷応答システムとその破綻による癌化【依田成玄,大西伸幸,西田 満,南 康博】

  • DNA損傷応答の作動
  • DNA損傷応答の解除機構
  • DNA損傷応答の破綻と癌化

3. JAK/STAT系シグナル伝達と癌【古賀敬子,簑田泰昌,橋本雅之,吉田亮子,吉村昭彦】

  • サイトカインによるSTAT3の活性化機構と抑制機構
  • STAT3の腫瘍細胞における役割
  • STAT3の恒常的な活性化機構
  • STAT3の炎症細胞における役割
  • NF-κBと癌
  • STAT1と癌
  • SOCSと癌

4. エピジェネティクスと癌【田中信之】

  • 癌化におけるエピジェネティックな変化
  • DNAメチル化と遺伝子のサイレンシング機構
  • 癌化の抑制とエピジェネティクス

5. 癌細胞の浸潤・転移におけるタンパク質の相互作用と動態の制御【小野寺康仁,佐邊壽孝】

  • 癌転移の過程
  • 癌浸潤に関与する分子機構
  • 癌の浸潤・転移と微小環境

第2章 循環器系疾患

1. ミトコンドリアと転写制御からみた循環器疾患【佐野元昭,福田恵一】

  • ミトコンドリア代謝機能の転写制御
  • PGC-1は組織特異的に糖,脂質,エネルギー代謝を制御している鍵分子である
  • PGC-1αは心臓のエネルギー予備能の獲得に必須である
  • 病的肥大心におけるmetabolic remodelingに一致してPGC-1αの発現量は減少する

2. 心血管系の情報伝達の概観と心血管系に特徴的なメカノシグナル【中岡良和,福原茂朋,望月直樹】

  • シグナル分子の重要性の詳細-培養細胞・動物個体を使って明らかにされたこと
  • 心臓における重要な情報伝達系
  • 血管細胞で重要な情報伝達系
  • メカノセンサー分子を介したシグナル伝達

3. アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)による心血管ペプチド調節機構と疾患治療応用への展望【久場敬司,今井由美子,Josef M. Penninger】

  • ACEファミリー分子
  • ACE2による心血管ペプチドの制御
  • 心機能調節ならびに心不全におけるACE2の役割
  • 腎機能調節とACE2
  • SARS感染から急性肺傷害(ARDS)重症化におけるACE2の関与
  • ARDSにおけるACE2の肺保護作用

4. シグナル伝達と血管疾患〜治療標的分子同定のストラテジー【青木浩樹,吉村耕一,松崎益徳】

  • SPOT解析による大動脈瘤治療標的分子の同定
  • 大動脈瘤の病態におけるJNKの中心的役割

5. 病態モデル動物からみえてきた心不全における心筋細胞死の病因的役割【赤澤 宏,小室一成】

  • 心不全における心筋細胞アポトーシスの検出とその解釈
  • 心不全におけるアポトーシスの病因的役割
  • Apoptotic or autophagic ?
  • オートファジー様心筋細胞死による心不全発症のモデルマウス
  • オートファジーの細胞死における役割

6. 7回膜貫通型受容体と循環器系疾患【石田純治,深水昭吉】

  • 高血圧症とGPCR
  • 心臓疾患とGPCR
  • 新規GPCRと循環器制御

第3章 代謝・内分泌疾患

1. 生活習慣病の病因と病態【春日雅人】

  • メタボリックシンドロームの疾患概念
  • メタボリックシンドロームの病態
  • メタボリックシンドロームの成因

2. 脂肪萎縮症モデルマウスを用いた代謝メカニズムの解明【海老原 健,中尾一和】

  • 脂肪萎縮症モデルとしてのA-ZIP/F-1マウス
  • A-ZIP/F-1マウスから得られた知見

3. グレリンの内分泌代謝調節における意義と病態【赤水尚史,寒川賢治】

  • グレリンの内分泌調節機構と病態
  • グレリンの代謝調節機構と病態
  • グレリンの臨床応用の試み

4. ステロイドホルモン受容体群の転写制御機能と疾患【加藤茂明,中村 貴】

  • ステロイドホルモン群の作用機序と核内ステロイド受容体群の機能
  • 核内受容体と骨疾患

5. ユビキチンシステムによる核内受容体の転写制御【川辺洋一,神代理史,片野 幸,柳澤 純】

  • ユビキチン化修飾による核内受容体の制御機構
  • 核内受容体の分解と疾患,治療への応用

6. 代謝調節における転写因子の修飾制御機構〜転写からみた2型糖尿病発症の分子メカニズム【大徳浩照,深水昭吉】

  • 内分泌シグナルと転写修飾
  • 細胞内エネルギーシグナルと転写修飾

第4章 免疫(アレルギー)疾患

1. B細胞の終末分化とその障害による原発性免疫不全症【今井耕輔,黒崎知博,野々山恵章】

  • T/B細胞表面分子の異常による免疫不全症:HIGM1/3とCVID
  • AID異常症:HIGM2
  • UNG異常症:HIGM5
  • クラススイッチのしくみと候補遺伝子
  • S領域シナプス形成障害
  • クラススイッチ特異的DNA修復異常:HIGM4N
  • Cernunnos(セルヌノス):NHEJ異常によるクラススイッチ異常

2. IFN-IRFシステムと自己免疫疾患のつながり【高岡晃教,柳井秀元】

  • IFN-IRFシステムと自己免疫
  • 自己免疫疾患の病態におけるIFNシステム

3. 免疫応答とアレルギー:抑制型受容体によるアレルギー制御【中村 晃,高井俊行】

  • 抑制型受容体によるアレルギー反応の制御
  • FcγR(監)Bを標的としたアレルギー反応の制御

4. 単一遺伝子変異による自己免疫性関節炎〜新しい関節リウマチモデルマウス【田中 聡,坂口志文】

  • SKGマウスの確立
  • SKGマウスのT細胞異常
  • SKGマウスの関節炎発症の契機
  • SKGマウスの滑膜炎の病態

5. 膜結合型新規E3ユビキチンリガーゼファミリー【星野真理,後藤栄治,石戸 聡】

  • MIRファミリーメンバーとは?
  • MIR ファミリーメンバーによる標的分子の抑制機構

第5章 神経変性疾患

1. 異常タンパク質蓄積が発信する神経細胞死シグナル伝達【門脇寿枝,西頭英起,一條秀憲】

  • ポリグルタミン病
  • アルツハイマー病
  • 筋萎縮性側索硬化症

2. 神経変性疾患解明へ向けた遺伝学的アプローチ【戸田達史】

  • 単一遺伝性神経変性疾患原因遺伝子の同定
  • 多因子遺伝性神経変性疾患
  • 多因子遺伝性疾患へのアプローチ
  • 関連解析とその注意点
  • 現在の遺伝学上のストラテジー
  • 孤発性パーキンソン病感受性遺伝子の同定
  • HapMap計画と急速に展開するテクノロジー
  • CNPと多因子疾患

3. 遺伝性パーキンソン病から孤発性パーキンソン病へ【小林芳人,高橋良輔】

  • 遺伝性パーキンソン病原因遺伝子
  • 小胞体ストレスと細胞死
  • ミトコンドリア機能異常,酸化ストレスとタンパク質形成・分解異常

4. 神経変性疾患における転写障害【他田正義,小野寺 理】

  • ポリグルタミン病における転写障害
  • DNA修復障害による転写障害と神経変性疾患

5. ショウジョウバエモデルを用いた神経変性疾患研究【三浦正幸】

  • ショウジョウバエにおける神経変性疾患研究
  • ショウジョウバエのヒト神経変性疾患モデル
  • ポリグルタミン病とアポトーシス主要因子
  • 神経変性シグナルの遺伝学的解析

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