ウイルス・細菌・免疫・感染症治療の各領域の最先端の研究成果がこの1冊でわかる!麻疹ウイルスを用いた標的癌治療や,抗マラリア薬・O157感染症の新規治療薬の開発など,最新治療法の開発の現状も詳しく紹介.
目次
概論:ここまでわかったウイルス・細菌感染と免疫応答の分子メカニズム〜感染症を克服するために【笹川千尋,柳 雄介,審良静男】
- ウイルスの感染と疾患発症機構
- 細菌感染と宿主応答
- 病原体感染に対する免疫応答メカニズム
- 臨床研究と新たな治療戦略
第1章 ウイルスの感染と疾患発症機構
1. マウス肝炎ウイルスおよびSARSコロナウイルスの細胞侵入機構:病原性発現への関与【田口文広】
- コロナウイルススパイク(S)タンパク質の構造と機能
- コロナウイルス受容体の構造と機能
- MHVおよびSARS-CoVの細胞侵入経路
- 細胞侵入の分子機構
- MHVの受容体CEACAM1非依存性感染
2. HIV感染を制御する細胞性因子【小柳義夫】
- HIV増殖とそれに必須の細胞性因子
- 宿主側のHIV抑制因子
3. 植物ウイルスの宿主域決定因子【滝澤真理,渡辺雄一郎】
- 植物ウイルスの宿主への侵入
- ウイルスタンパク質と相互作用する宿主側の因子
- ウイルスの感染が誘導する細胞死
- RNAを介したウイルス抵抗性
4. アジアを襲う高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルス in 2004【八田正人,河岡義裕】
- インフルエンザウイルス
- 2003〜05年に起きた高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルスの流行
- ヒトにおける病態
- ベトナムで分離されたウイルスの病原性
5.リバースジェネティクスを用いたパラミクソウイルス感染の解析【竹田 誠,柳 雄介】
- 麻疹ウイルス
- リバースジェネティクス技術の麻疹ウイルスへの導入
- 麻疹ウイルスの細胞指向性とウイルス受容体
- アクセサリータンパク質と麻疹ウイルスの病原性
- 長い非翻訳領域と麻疹ウイルスの複製
- パラミクソウイルスをベクターとして利用する
6. ヘルペスウイルスの潜伏感染と慢性疾患【近藤一博】
- ヘルペスウイルスの潜伏感染の特色
- ヘルペスウイルスの潜伏感染細胞
- ヘルペスウイルスの潜伏感染・再活性化の機序
- ヘルペスウイルスの潜伏感染・再活性化と疾患
7. ポリオウイルスのトロピズムに関与するインターフェロン応答【小池 智】
- ポリオウイルスの発症病理
- トロピズムを支配していると考えられてきた因子
- IFN応答の組織特異性への関与
8. 抗原エスケープ:宿主体内でのウイルス進化【佐々木 顕】
- 抗原エスケープ
- 逃げる病原体と追う免疫系の宿主内共進化
- 配列空間上の病原体エスケープ
第2章 細菌感染と宿主応答
1. 腸管病原性大腸菌の感染機構【阿部章夫,桑江朝臣】
2. 細菌感染とユビキチン・プロテアソーム【久堀智子】
- ユビキチン・プロテアソーム系
- エルシニアエフェクターYopJ
- アグロバクテリア病原因子VirF
- UPEC毒素CNF1
- サルモネラエフェクターSopE,SptP
3. オートファジーと細菌感染【小川道永,笹川千尋】
- 哺乳類細胞におけるオートファジー
- 細菌感染とオートファジー
4. ブルセラ属菌のマクロファージ感染と細胞内輸送にかかわるプリオンタンパク質【度会雅久】
- B. abortusのマクロファージ感染様式と脂質ラフト
- 脂質ラフトに存在する分子とB. abortusの相互作用
- マクロファージにおけるB. abortusの細胞内輸送と増殖
5. 低分子量GTP結合タンパク質を標的にする細菌性病原因子【堀口安彦】
- Rhoファミリータンパク質
- 低分子量GTP結合タンパク質に影響を及ぼす細菌性病原因子
- ボルデテラ壊死毒(DNT)と細胞壊死因子(CNF)
- 低分子量GTP結合タンパク質機能の修飾と細菌感染
6. 抗菌ペプチドによる腸管の感染防御機構【綾部時芳】
- 抗菌ペプチド
- 腸管粘膜免疫
- 自然免疫担当細胞としてのパネート細胞
- 今後の展望
第3章 病原体感染に対する免疫応答メカニズム
1. Toll-like receptorによる生体防御【植松 智,審良静男】
- Toll-like receptorとその役割
- TLRのシグナル伝達経路
2. 核酸成分を認識するTLRによる感染防御機構および自己免疫疾患との関係【改正恒康】
- TLRによる微生物認識
- TLRシグナルによるⅠ型インターフェロン産生
- PDCによるTLR9シグナルの処理機構
- 抗ウイルス免疫におけるTLR3の役割
- TLRによる宿主由来核酸成分の認識
- TLR9シグナルと自己免疫
3. 細胞内受容体によるウイルス感染の認識機構【小野口和英,藤田尚志】
- 細胞内dsRNA受容体
- 細胞内で細菌成分を認識する受容体Nod
4. 樹状細胞とウイルス免疫応答【米山博之】
- DCは多彩な細胞集団である
- mDCの動態とウイルスのエスケープ戦略
- エスケープに対するDCの戦略(Ⅰ):クロス・プレゼンテーション
- エスケープに対するDCの戦略(Ⅱ):pDCを含む多彩な亜集団
- おわりに:DC亜集団の相互作用
5. NK細胞受容体によるウイルス感染細胞の認識機構【佐藤毅史,荒瀬 尚】
- NK細胞受容体
- ウイルスの免疫逃避機構とNK細胞受容体
- 病原体によるNK細胞受容体の進化
6. 感染免疫に重要なIFN-γ産生細胞に関する新たな知見〜NK細胞とDCのどちらがIFN-γを産生するか?【永井重徳,小安重夫】
- NK細胞はCD11clo細胞であり,IFN-γの主要な産生細胞である
- CpGで活性化されたThy1.2+DCから産生されるIFN-γが,自然免疫に重要な役割を果たす
- NK細胞とDCの両方の性質をもつ細胞(NKDC)が存在し,多量のIFN-γを産生する
7. 細菌感染とT細胞応答【吉開泰信】
8. 感染防御システムとしての腸管免疫系【竹田 潔】
- 腸管感染症における病原微生物の侵入経路
- 腸管免疫系のリンパ組織
- 腸管免疫系の制御機構の破綻と炎症性腸疾患
- 自然免疫系と慢性大腸炎
- 大腸局所のマクロファージの機能
- マクロファージにおけるIκBファミリー分子の機能
第4章 臨床研究と新たな治療戦略
1. 腫瘍溶解性麻疹ウイルスを用いた標的癌治療【中村貴史】
2. Helicobacter pylori感染と悪性リンパ腫〜胃MALTリンパ腫の発症機構を中心に【福井寿朗,千葉 勉】
- MALTリンパ腫の概念と分類
- MALTリンパ腫の成因とH. pylori
- 胃MALTリンパ腫病変モデルにおける病変発症のメカニズム
- MALTリンパ腫からDLBCLへの悪性転化
3. CCR5を標的としたHIV-1感染症治療戦略【満屋裕明】
- HIV-1の細胞への侵入と侵入阻害剤
- ケモカイン受容体とケモカイン阻害剤
- CCR5阻害剤の作用機序と抗HIV-1活性の構造学的解析
4. O157感染症の新規治療薬の創製【西川喜代孝】
- Stxの構造とGb3糖鎖認識機構
- グロボ三糖を集積させたStx阻害剤
5. 抗マラリア薬の開発:過去〜現在〜未来【綿矢有佑,金 惠淑】
- キナ皮と合成抗マラリア薬
- 葉酸代謝拮抗系抗マラリア薬
- ベトナム戦争後に開発された抗マラリア薬
- 新規抗マラリア環状過酸化物(N-89およびN-251)
6. 感染症予防のための粘膜ワクチンの開発【幸 義和,清野 宏】
- 粘膜免疫の主役:分泌型IgA
- 粘膜ワクチンの開発のための条件
- 経口ワクチン開発の最短距離:植物ワクチン
関連情報
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- 【本書名】実験医学増刊:解明が進む ウイルス・細菌感染と免疫応答〜分子メカニズムから新たな治療戦略まで
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(2021年8月23日)
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