クローズアップ実験法

2024年8月号 Vol.42 No.13 詳細ページ
生体内における標的細胞の増殖をリアルタイムかつ高感度に定量する手法
菅原裕人,今井淳太,片桐秀樹
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生体内における標的細胞の
増殖をリアルタイムかつ
高感度に定量する手法
菅原裕人,今井淳太,片桐秀樹

何ができるようになった?
生きたままのマウスにおいて,ごく少量の採血で,生体内における標的細胞の増殖をリアルタイム
かつ高感度に定量できるようになった.新たに開発した遺伝子改変マウスと任意の標的細胞特異的な
Cre リコンビナーゼをもつマウスを交配することにより,さまざまな細胞種の増殖の経時的観察に応
用可能である.

必要な機器・試薬・テクニックは?
標的細胞に Cre リコンビナーゼを発現するマウスを用意し,われわれが開発した Ki67p-LSL-Gluc
マウスを交配することで実験可能となる.機器としてはルシフェラーゼアッセイを行うルミノメーター
が必要であり,試薬についてはすべて市販されているものを用いることができる.

はじめに

学的に観察しなければならず,実験動物を含む多くの

細胞は全身の需要に応じて必要なだけ増殖し,その

資源を必要とした.さらに,異なる動物個体間の比較

過程は多種多様な生理的状況への適応や,組織修復に

では個体差を無視できず,その点から正確な経時的比

おける役割を果たしている.このメカニズムを理解す

較は困難だった.そこで,生体内における細胞増殖を

るため,細胞増殖の経時的な変化に関する情報を得る

生きたまま同一個体で経時的かつ定量的に観察する方

ことは非常に重要である.われわれは以前から,肥満

法を開発することとした.

1)∼ 6)

今回,われわれはごく少量の採血という低侵襲かつ

7)

細胞増殖や膵β細胞量の変化 ,肝臓傷害時の肝細胞

簡便な方法によって,生体内における標的細胞の増殖

増殖 8)などについての研究を行ってきており,

を経時的に定量できる手法を確立した 9).はじめに,特

における細胞増殖の変化を観察する研究を多く実施し

定の細胞が増殖に伴ってルシフェラーゼを産生し血液

てきた.これまで生体内の細胞増殖を経時的に観察す

中に放出するようにした遺伝子改変マウスを作製した.

るには,各時点で動物を sacrifice して臓器を摘出し,

このマウスから少量の採血を行って血液中のルシフェ

薄切切片を作製し,細胞増殖マーカーで染色して組織

ラーゼ活性を測定することで,体内でリアルタイムに

時の代償性の膵β細胞増殖

や妊娠・出産時の膵β

Development of a highly sensitive novel strategy for monitoring real-time proliferation of targeted
cell types
Hiroto Sugawara 1)2)/Junta Imai 1)2)/Hideki Katagiri 1)2):Department of Diabetes, Metabolism and Endocrinology, Tohoku
University Graduate School of Medicine 1)/Department of Diabetes, Metabolism and Endocrinology, Tohoku University
(東北大学大学院医学系研究科糖尿病代謝・内分泌内科学分野 1)/ 東北大学病院糖尿病代謝・内分泌内科 2))
Hospital 2)

実験医学 Vol. 42 No. 13(8 月号)2024

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