クライオ電子顕微鏡を用いたタンパク質の構造解析法は,近年急速な進歩を遂げ,リボソームなどの巨大で複雑なタンパク質構造を原子分解能で解き明かすほどに強力な手法となっている(本号の特集を参照).しかし,意外かもしれないが,50 kDa以下の比較的小さなタンパク質粒子をクライオ電顕で可視化・分析することはいまだ困難である.ヒトプロテオームに数多く存在するサイズ50 kDa以下のタンパク質構造を結晶化に頼らず,クライオ電顕で解くにはどうすればよいのだろうか? 今回,この課題を解決しうる興味深い手法が,UCLAのTodd Yeatesのグループから報告されたので紹介したい.
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