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抗体による内在性タンパク質分解除去

国立遺伝学研究所 鐘巻将人

胞内におけるタンパク質の機能を調べるには,目的のタンパク質の発現を抑制して,何が起こるのかその表現型を解析することが有効である.この目的のために,これまでsiRNAや遺伝子ノックアウトが利用されてきた.これらはタンパク質翻訳よりも前の段階を阻害するため,すでに細胞内に存在するタンパク質には影響を与えない.そのため,タンパク質除去時間は標的タンパク質の半減期に依存しており,一般的には2〜3日といった比較的長い時間が必要である.そこで最終的に現れる表現型がタンパク質除去による直接的影響か,それとも除去が引き起こす二次的影響によるものなのか慎重に検討する必要がある.また,遺伝子ノックアウトの場合,適応により顕著な表現型が現れないこともある.これら従来法が抱えていた問題を避けるには,目的のタンパク質を短時間に分解除去すればよい.近年,タンパク質レベルにおける分解制御技術が複数開発されており,

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2018年6月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2018年6月号 Vol.36 No.9
がんは免疫系をいかに抑制するのか
免疫チェックポイント阻害剤の真の標的を求めて

西川博嘉/企画
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