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エピゲノム制御の障害が
膵β細胞を脱分化させる

徳島大学先端酵素学研究所糖尿病臨床・研究開発センター/
たまき青空病院 田蒔基行

尿病患者においては,高血糖状態が遷延するとインスリン分泌が低下し,インスリン分泌が低下したせいでさらに血糖値が上昇する.古くからこの現象は「糖毒性」として診療の現場で広く知られている.これまでに糖毒性の原因は,高血糖にともなって誘導される酸化ストレスや小胞体ストレス,オートファジー機能障害などで膵β細胞機能が障害されたり,アポトーシスが誘導されることなどが原因だと考えられてきた.しかし近年になって,膵β細胞が内分泌前駆細胞へと脱分化してインスリン分泌をやめてしまうことや,他の内分泌細胞へと分化転換することが,膵β細胞数の減少やインスリン分泌低下に深く関与することが示された(Talchai C, et al:Cell, 150:1223-1234, 2012).ただ,そのメカニズムとして高血糖状態の遷延が膵β細胞の脱分化の強力な誘因であることは示されているものの,脱分化を引き起こす詳細なメカニズムは不明な点が多い.


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2018年8月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2018年8月号  Vol.36 No.13
サイズ生物学
“生命”が固有のサイズをもつ意味とそれを決定する仕組み

山本一男,原 裕貴/企画
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