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細胞外小胞による組織間ミトコンドリア輸送 ―脂肪組織と心臓の新たなクロストーク

京都大学大学院農学研究科 後藤 剛

肪細胞は多彩な物質の内分泌機能を担うが,その分泌形態として細胞外小胞(extracell- ular vesicles,EV)があげられる.脂肪細胞由来のEVはAd-EV(adipocyte EV)とよばれ,脂肪細胞は血液中に存在するEVの最大の供給細胞の一つである可能性が議論されており(Thomou T, et al:Nature, 542:450-455, 2017 /Flaherty SE 3rd, et al:Science, 363:989-993, 2019),タンパク質,miRNA,mRNA,脂質など多様な分子が,Ad-EVにより運搬される.培養脂肪細胞において,Ad-EV産生は肥満状態で認められる酸化ストレスなど各種ストレスにより亢進し,肥満状態のマウスやヒトにおいて血中EV量が増加することから,肥満病態発症におけるAd-EVの役割が注目されている.細胞間コミュニケーションにかかわるEVは産生経路によって主にエクソソーム(50〜150 nm)と微小小胞(50〜1,000 nm)に大別されるが,両者は類似の生化学的性質を示すため現状では分別することは難しく,しばしばサイズにより分離され,小型のEV(small EV,sEV)と200 nmを超える大型のEV(large EV)に分けた機能解析がなされている.

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2021年12月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2021年12月号 Vol.39 No.19
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