説得力のあるプレゼンテーション(2008年9月号)のOnline Supplement Material
本誌連載第9回「説得力のあるプレゼンテーション」では,プレゼンテーションをする目的から,研究者のプレゼンテーションによく見られる失敗と対策,トレーニング法までをご紹介いただきました.
今回のOnline Supplement Materialでは,インターネット上で無料配信されている優れたプレゼンテーション動画を4本ご紹介いただき,それぞれについて見るべきポイントを具体的に解説いただきました.5~10分程度の短いセッションに分かれたプレゼンテーションのなかに,研究発表にも応用できるテクニックが詰まっています.ぜひご覧ください.(編集部)
TED(Technology,Entertainment,Design)は世界トップクラスのクリエイティブでイノベーティブな人材が集いプレゼンテーションする場であり,そこではある意味世界最上のプレゼンテーションを見ることができる.そのなかで私が選んだ最も説得力のあるTED Talkスライドショーとプレゼンテーションを4つ紹介する.
※動画はhttp://www.ted.com/index.php/talks/view/id/248からご覧ください
統計データとビジュアル(変形した世界地図),さらに「ブリトニースピアーズの方が安くつく」いうキャッチーなメッセージが,スティキーな(こころに残る忘れがたい)ストーリーを構成している.あえて原稿を読みながらのプレゼンテーションも,この場合は「正確さ」「真剣さ」などの印象を聴衆に与え,より多くの注目を集めるのに一役かっている.
※動画はhttp://www.ted.com/index.php/talks/view/id/251からご覧ください
まず冒頭の1分半で何が問題点の核心なのかをクリアに語ることにより,聴衆を引きつける.続いて,その重要な問題にいかにタックルしてきたのかという「問題解決のストーリー」に聴衆を牽引してゆく.
※動画はhttp://www.ted.com/index.php/talks/view/id/243からご覧ください
30分のプレゼンテーションを各5分の6つの部分にわけ,それぞれの部分が映像とデータでシンプルなメッセージを語っている.また,意識的にゆっくりと,平易な英語で語ることにより,クリアで力強いストーリーを形作っている.
※動画はhttp://www.ted.com/index.php/talks/view/id/183からご覧ください
Relate:まず自分の研究をだれもが知っていて興味をもつようなことに「関連」づける.Story:超具体的な実験手法(どの試薬をどこから取り寄せて,何度で培養したなど)を生き生きと小さな「物語」として語る.Context:「何の役に立つかという,基礎研究の社会への意味付け」.以上のプレゼンテーションに重要な3つの要素を5分という短い時間にうまくまとめて話している.
また4人とも演壇をはなれ,全身を使ってメッセージを放っている点も注目に値する.