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Q19. 薬剤処理やストレス刺激などで変動するタンパク質を網羅的に解析したいと思っています.このようなプロテオーム解析には二次元電気泳動が適していると聞きましたが,実際はどうなのでしょうか…
- A.二次元電気泳動によるプロテオーム解析の利点と限界,特性を理解しよう
- 二次元電気泳動によるタンパク質発現の変動解析では,まず検出感度の問題が挙げられる.銀染色や蛍光染色でも微量のタンパク質の変動を解析するのは困難である.したがって,微量酵素やシグナル分子,転写因子などの細胞内で極微量にしか存在しないタンパク質の変動を検出するのはかなり難しい.そのような場合は,あらかじめ何らかの前処理にてアプライサンプルを絞り込む(フォーカスド・プロテオーム解析)ことや,抗体を用いた変動解析などを適用するとよい.
- また,二次元電気泳動によるプロテオーム解析の利点としては,タンパク質の修飾の変動解析が可能な点が挙げられる.発現解析に関してはDNAマイクロアレイの方が高感度であるが,翻訳後修飾の解析は不可能である.しかし, 翻訳後修飾を特異的に検出できる手法を二次元電気泳動と組合せればタンパク質の修飾の網羅的な変動解析が可能となる.
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プロフィール
- 森山 達哉(Tatsuya Moriyama)
- 京都大学農学部食品工学科卒.同大学院農学研究科修士課程,博士課程ののち,京都大学食糧科学研究所助手 等を経て2005年に近畿大学農学部講師,2008年准教授.その間,1996年米国スタンフォード大学招聘研究員(1年間).毎日多くの元気な学生たちと一緒に,食品成分の生理機能性(特に脂質代謝への影響)と安全性(特にアレルゲン性)に関する研究を行っている.基礎研究だけでなく,社会の役に立つ「アウトプット」を意識した研究を進めています.
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