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Q5. タンパク質定量用の発色試薬(キット)の選び方が分かりません…
- A.主要な方法の特徴を理解し,自分のサンプルや実験に適したものを選ぼう
- さまざまな試薬会社から,さまざまなタンパク質濃度定量キットが発売されているが,基本的にはタンパク質溶液と試薬を混ぜて吸光度を測定するだけの簡単操作で定量できる.幾つかの種類があり,これらの使い分けや利点・特徴などを把握しておくことが好ましい(表).
- これらの各キットの特性としては,許容可能な共存物の種類や濃度が異なる点が重要である.注意の必要な共存物として,界面活性剤,還元剤,変性剤,キレート剤,アミノ基を有する化合物などが挙げられる.影響を与える共存試薬の許容濃度に関しては,試薬メーカーの説明書やカタログを参照すること.なお,最近はこれらの弱点を克服しているキットも開発され,より便利になっている(Q13参照).
表 代表的なタンパク質定量法(試薬・キット)
基本原理名 |
原理 |
特徴・留意点 |
キットの供給会社 |
Bradford法 |
CBB-G250とタンパク質の結合 |
界面活性剤によって干渉を受ける 還元剤には比較的耐性 BSAの吸光度が高くなる 検出感度(1〜1,500μg/mL) |
バイオラッド社 タカラバイオ社 サーモフィッシャーサイエンティフィック社 ナカライテスク社 など |
Lowry法 |
酒石酸銅とFolin試薬とタンパク質との呈色反応 |
還元剤によって干渉を受ける 界面活性剤には比較的耐性 アミノ基を有する化合物によって干渉を受ける 検出感度(10〜1,500μg/mL) |
バイオラッド社 タカラバイオ社 サーモフィッシャーサイエンティフィック社 など |
BCA法 |
BCA(ビシンコニン酸)存在下で銅イオンと着色錯体がタンパク質に結合 |
界面活性剤には比較的耐性 検出感度(5〜2,000μg/mL) |
タカラバイオ社 サーモフィッシャーサイエンティフィック社 など |
※ タカラバイオ社,サーモフィッシャーサイエンティフィック社の旧ブランド名はピアス社である
Q4 発色試薬? 280 nm?定量と染色のQ&A一覧へQ6 濃度皆目不明
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プロフィール
- 森山 達哉(Tatsuya Moriyama)
- 京都大学農学部食品工学科卒.同大学院農学研究科修士課程,博士課程ののち,京都大学食糧科学研究所助手 等を経て2005年に近畿大学農学部講師,2008年准教授.その間,1996年米国スタンフォード大学招聘研究員(1年間).毎日多くの元気な学生たちと一緒に,食品成分の生理機能性(特に脂質代謝への影響)と安全性(特にアレルゲン性)に関する研究を行っている.基礎研究だけでなく,社会の役に立つ「アウトプット」を意識した研究を進めています.
- <著作>
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