実験医学増刊 Vol.27 No.10

感染症ーウイルス・細菌・寄生虫の感染戦略

  • 光山正雄,北 潔,野本明男/編
  • 2009年05月29日発行
  • B5判
  • 242ページ
  • ISBN 978-4-7581-0299-5
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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セントラルドグマから細胞内動態,指向性,宿主との攻防まで病原体の戦略を徹底解説!ウイルス,細菌,寄生虫の枠組みを超えた共通/個別の戦略から次世代研究,ワクチン開発などの潮流がみえてくる必読の1冊!

目次

第1章 病原体のセントラルドグマ

概論 病原体ゲノムのセントラルドグマ【永田恭介】

  • 細菌
  • ウイルス
  • 寄生虫

1.EBウイルス複製ファクトリー【鶴見達也】

  • EBV潜伏感染とウイルスゲノム複製
  • EBV産生感染への移行とウイルスゲノム複製
  • EBV複製開始領域oriLyt
  • 複製フォークで働くタンパク質群
  • EBV複製ファクトリー(replication compartment:RC)
  • EBV産生感染とDNA損傷応答の誘起
  • 相同組換え修復関連タンパク質群の集積
  • ミスマッチ修復関連タンパク質群の集積

2.宿主因子依存性インフルエンザウイルスゲノム複製機構【内藤忠相/永田恭介】

  • インフルエンザウイルスゲノムの転写・複製に関与する宿主因子
  • 酵母系によるスクリーニング

3.ウイルスによるスプライシング暗号の利用と撹乱【野島孝之/萩原正敏】

  • DNAウイルスのスプライシング制御
  • レトロウイルスのスプライシング制御
  • 宿主mRNAスプライシングへの干渉

4.ビブリオ属細菌ゲノムの複製と分配【山市嘉治/飯田哲也】

  • 2つの環状染色体よりなるビブリオ属細菌のゲノム
  • コレラ菌の染色体複製開始機構
  • コレラ菌の染色体分配機構

5.A群レンサ球菌の全ゲノム情報を基盤にした病原性解析 比較ゲノム解析から発現機能解析ヘ【中川一路】

  • A群レンサ球菌の病原性の特徴
  • A群レンサ球菌のゲノム解析
  • マイクロアレイを用いた発現機能解析
  • タイリングアレイを用いた遺伝子発現解析

6.マラリア原虫のステージ特異的な遺伝子発現に関与する転写因子【油田正夫/金子伊澄】

  • オオキネート期の遺伝子発現
  • AP2-Oは感染性をもつオオキネートの形成に必須である
  • AP2-Oは6塩基配列TAGCTAに特異的に結合する
  • 人工染色体によるin vivoプロモーターアッセイ
  • AP2-Oに制御される遺伝子群
  • AP2-Oの発現は翻訳レベルでの制御を受けている
  • 他のステージの遺伝子発現とAP2ファミリー転写因子

第2章 病原体の細胞内動態

概論 細胞内増殖性病原体の細胞内動態【西山幸廣】

  • 細胞内増殖戦略の多様性と共通性

1.ボルナウイルスの核輸送とゲノム動態【朝長啓造】

  • BDVの基本性状
  • BDVの核輸送機構
  • BDVゲノムの核内動態
  • ゲノム・トリミングと免疫回避機構

2.単純ヘルペスウイルスの感染機構【佐藤毅史/荒瀬 尚】

  • HSV-1感染細胞におけるPILRα会合分子の同定
  • PILRαはgBに特異的に会合する
  • PILRαトランスフェクタントはHSV-1感染感受性になる
  • PILRα-gBの会合は膜融合に関与している
  • 単球への感染においてもgBとPILRαの会合が必須である

3.C型肝炎ウイルスの複製増殖の場【脇田隆字】

  • HCVの生活環
  • ウイルスゲノム複製の場
  • ウイルス粒子形成の場
  • 生体におけるHCV複製の場

4.サルモネラによる宿主食細胞のハイジャック【山本友子/高屋明子】

  • Type=2secretion systemとSalmonella Pathogenicity Island
  • SCV:Salmonella-containing vacuole
  • SCVメンブレンダイナミクスとエフェクター
  • エフェクターの時空間発現制御

5.レジオネラの宿主細胞内動態とエフェクター【永井宏樹】

  • LCVの細胞生物学
  • エフェクターによる宿主機能のハイジャック

6.腸管寄生性原虫の小胞輸送—病原機構における役割【津久井久美子/野崎智義】

  • 赤痢アメーバの病原因子と病原機構における小胞輸送の関与
  • ゲノムからわかるユニークな小胞輸送機構
  • 病原因子にかかわる小胞輸送経路

7.マラリア原虫の赤血球認識と侵入の駆動力【金子 修】

  • メロゾイトの赤血球への侵入過程
  • 原虫の滑走運動と細胞侵入の駆動力
  • 密着接合形成とEBL
  • 移動接合帯にかかわる分子

3章 病原体のトロピズム決定

概論 病原体の宿主域とトロピズム【柳 雄介】

  • 標的組織・細胞への付着・侵入
  • 増殖に必要な宿主因子
  • 宿主の防御機構からの回避
  • 寄生虫の生活環と体内移行

麻疹ウイルスの受容体とトロピズム【竹田 誠/柳 雄介】

  • 麻疹と麻疹ウイルス
  • 麻疹ウイルス受容体SLAM
  • 未知の上皮細胞受容体
  • ワクチン株の受容体CD46
  • 受容体結合タンパク質(Hタンパク質)の構造と受容体結合部位

2.APOBEC3G/VifシステムによるHIV-1の複製制御【泉 泰輔/高折晃史】

  • 研究背景
  • AG3の抗ウイルス作用
  • Vifタンパク質によるAG3の阻害機序
  • AG3活性の調節機序

ポリオウイルスのトロピズム【小池 智】

  • ポリオウイルス発症病理
  • 標的組織への到達-accessibility-
  • 標的細胞への侵入-susceptibility-
  • ウイルス複製の許容-permissivity-

4.ヘリコバクターピロリの胃上皮感染機構【三室仁美】

  • Hp感染様式
  • Hp病原因子CagA
  • 胃での長期定着戦略

5.クロストリジウム神経毒素の受容体認識【小崎俊司/居原 秀】

  • クロストリジウム神経毒素受容体としてのガングリオシドと二成分理論
  • B型毒素と受容体の相互作用
  • C型毒素と受容体の相互作用
  • D型毒素と受容体の相互作用
  • その他のクロストリジウム神経毒素の受容体

6.消化管寄生線虫の小腸上皮への寄生【石渡賢治】

  • Nippostrongylus brasiliensisという消化管寄生線虫
  • N.brasiliensisのマウスにおける寄生動態
  • N.brasiliensisの小腸上部指向性
  • N.brasiliensisの小腸粘膜指向性
  • N.brasiliensisの排除に伴う粘液成分の変化
  • N.brasiliensisの小腸上部からの排除メカニズム

7.回虫のライフサイクルにおける酸素適応機構—卵発生と体内移行【北 潔/後藤美穂】

  • 寄生虫のエネルギー代謝
  • 回虫成虫のライフサイクルとそのエネルギー代謝の変動
  • 回虫ミトコンドリアの複数の複合体(監)
  • 体内移行中の呼吸鎖の変動
  • 薬剤標的としてのNADH-フマル酸還元系

4章 病原体と宿主の攻防

概論 病原因子と宿主防御機構【光山正雄】

  • 病原性と宿主防御
  • 病原体側の病原因子群
  • 宿主防御機構:自然免疫と獲得免疫
  • 病原体と宿主防御の攻防

1.インターフェロンがセンダイウイルスの病原性発現に及ぼす影響【加藤 篤/清谷克寛】

  • センダイウイルスとアクセサリータンパク質
  • SeVのVタンパク質
  • ウイルスに対する宿主の自然免疫応答
  • SeVのVタンパク質と自然免疫
  • SeVの排除にかかわるものは

2.T細胞免疫系は己をまもれるか? HIVは問う【塚本徹雄/俣野哲朗】

  • T細胞免疫系のシステムとしての機能
  • T細胞免疫系の限界
  • セキュリティ・ホールとしてのHIV特異的CD4 T細胞応答
  • Merckのワクチン臨床試験はなぜ「失敗」といわれるのか
  • 予防エイズワクチンはCD4 T細胞メモリーを誘導すべきか
  • 予防エイズワクチンはどのようなCTLメモリーを誘導すべきか

3.赤痢菌の粘膜感染における生存戦略【芦田 浩/笹川千尋】

  • 赤痢菌感染による炎症誘導
  • 赤痢菌による宿主炎症抑制機構
  • 赤痢菌による感染足場の維持

4.病原細菌による宿主防御機構の撹乱【阿部章夫】

  • エフェクターの概要と宿主移行のメカニズム
  • 宿主への付着と細胞内への侵入
  • 細胞死の誘導
  • 腸管上皮バリアの脱制御
  • 宿主免疫応答の撹乱

5.ショウジョウバエモデルによる病原細菌認識と排除の分子機構【倉田祥一朗】

  • ショウジョウバエにおける自然免疫応答
  • PGRPファミリーによる病原細菌の識別 
  • 細胞内寄生細菌の認識とオートファジーによる排除
  • 昆虫免疫における病原体センサーの多様性発現と適応反応

6.トキソプラズマ感染による宿主細胞アポトーシスの制御【西川義文】

  • 宿主細胞アポトーシスの阻害
  • 宿主細胞アポトーシスの誘導
  • トキソプラズマ感染におけるアポトーシスと病原性

7.寄生虫感染時のサイトカイン動態【安田好文/善本知広/中西憲司】

  • 細胞内寄生原虫感染に対するIL-18,IL-27の働き
  • 腸内寄生線虫感染に対するIL-18,IL-27の働き

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  • 【本書名】実験医学増刊:感染症ーウイルス・細菌・寄生虫の感染戦略
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