女性特有の疾患が疑われる症例には産婦人科以外でも遭遇する!腹痛や妊娠や月経に起因する不調など,よく出会うケースに絞り,鑑別診断の考え方や診察のやり方,女性患者への対応方法まで,具体的に解説した入門書!
−後略−
「第14回 家庭医の生涯教育のためのワークショップ」(2006年,日本家庭医療学会)において,家庭医療学のメンバーである井上真智子先生,西村真紀先生と「ウィメンズヘルス?医療面接だけでここまでできる?」というセッションを担当したとき,日本にはウィメンズヘルスの実践的なテキストが少ないことに気付いた.以来日本の現状に合った臨床に役立つテキストを求め続けてきたが,今ここに得られたことを喜ばしく思う.
この本を開いたときに,「フローチャートで診る! 女性の急性腹症(1部-2)」「緊急性のある腹痛を見逃さない(1部-4)」「備えておきたい周産期救急(2部-1)」「医療面接の“聞きにくい” “話しにくい”をなくそう!(3部-1)」など,具体的ですぐに診療に役立つ各項のタイトルに興味をもった.いずれも,日常の診療現場においてプライマリ・ケア医が困難を感じ,時にはヒヤリとさせられることである.
特に「こんな腹痛患者が来たら…(1部-6)」の項では,読者の皆様はこれまでに経験した,あるいはこれから遭遇するであろう“妊孕性のある女性の下腹部痛の診療”の難しさを思い起こしつつ,時には冷や汗をかきつつ読むことになるかもしれない.見逃してはならない疾患の鑑別のポイントやコンサルテーションのタイミングが明確になるばかりでなく,PID(骨盤内炎症性疾患)のように診断に不確実性が存在する疾患への対処法も習得できるだろう.
なお,「備えておきたい周産期救急(2部-1)」は推奨したい記事であり,ALSO(Advanced Life Support in Obstetrics)の教育コースを受講しておけば救急やプライマリ・ケアの現場で産科疾患に遭遇しても安心である.
さらに詳しく読み進めると,随所にちりばめられたクリニカルパールの存在がみえてくる.例えば,患者さんのプライバシーを守る具体的な方法である診察を行う環境への配慮や告げやすいタイミングだけでなく,診察者の態度や空気を読む力,心構えなど“より話しやすい雰囲気つくり”のための具体的な方略が述べられ,シャペロン※の大切な役割についても解説している(※シャペロン:男性医師が女性患者を診察するとき医師に付き添う女性スタッフ).
特に「性行為感染症(2部-2)」は患者さんのプライバシーを守りつつ確実に治療につなぐためのストラテジーが詳細に書かれているので,治療そして予防と患者教育に貢献するだろう.
最後に,本書はレジデントノート誌の特集「自信をもって診る!女性の腹痛」を元にして全面的な刷新の後,出版を迎えた.今回新たな項目が更に加わってボリュームは倍以上になり,女性の診察の基本を確実にマスターできる本となっている.ぜひとも診察室や救急室に備えて,くり返し紐解いてほしい.
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