スマホで読める実験医学
550円

核内受容体NR4aによるT細胞疲弊と免疫寛容の制御

T cell exhaustion and tolerance by nuclear factor NR4a
安藤 眞,三瀬節子,大谷木正貴,吉村昭彦
Makoto Ando/ Setsuko Mise-Omata/Masaki Ohyagi/Akihiko Yoshimura:Department of Microbiology and Immunology, Keio University School of Medicine(慶應義塾大学医学部微生物学免疫学教室)
10.18958/6683-00001-0001011-00

T細胞の疲弊化は腫瘍免疫の効果を減弱させるだけではなく,チェックポイント阻害療法抵抗性の原因となる.しかしT細胞疲弊化の分子機構の解明ははじまったばかりである.われわれはFoxp3の転写を直接活性化し制御性T細胞(Treg)の分化に必須の役割を果たす転写因子として核内受容体NR4aファミリーを発見した.NR4aはCD8T細胞においては,PD-1陽性の疲弊化したT細胞で強く発現誘導された.NR4aはPD-1遺伝子のエンハンサー領域に結合しPD-1の発現を安定化する一方で,AP-1やNF-κBと競合することでIFNγなどの抗腫瘍性サイトカインの産生を抑制する.NR4a阻害剤はTregの抑制とCD8陽性T細胞の活性強化を介して抗腫瘍免疫を増強しうる理想的な抗腫瘍免疫増強剤となることが示唆されている.

メモリーT細胞,疲弊,NR4a,Tox,免疫チェックポイント阻害

この記事は有料記事です

(残り約9,000文字)

  • 【スマホで読める実験医学】核内受容体NR4aによるT細胞疲弊と免疫寛容の制御
    550円