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神経免疫から見えてきた自閉スペクトラム症克服への新たな展開

New development to overcome autism spectrum disorder from the viewpoint of neuroimmunology
内野茂夫
Shigeo Uchino:Faculty of Biosciences, School of Science and Engineering, Teikyo University(帝京大学理工学部バイオサイエンス学科)
10.18958/5567-00001-0001494-00

自閉スペクトラム症(ASD)は先天的な小児発達障害である.ASD患者では,神経回路の機能不全がもたらす高次脳機能障害とともに,免疫系の異常もみられることが多い.近年,妊娠期のウイルス感染などで母体の免疫機能が活性化することによる炎症性サイトカインの発現亢進が,胎児の脳形成に影響を及ぼし,生後の自閉的行動を惹起することが明らかになってきた.また,免疫関連分子であるケモカインの発現異常と自閉的行動の相関性もわかってきた.本稿では,ASDが示す高次脳機能障害と免疫系異常の関連性,さらには,免疫関連分子からみた創薬研究へのアプローチについて,最新の知見を紹介する.

自閉スペクトラム症(ASD),母体免疫活性化(MIA),炎症性サイトカイン,ケモカイン

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