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状況に応じた免疫システムによる中枢神経機能制御

Immune-neuron crosstalk depends on the situation
許 依敏,井上 誠
Yee-Ming Khaw/Makoto Inoue:Department of Comparative Biosciences, University of Illinois at Urbana-Champaign(イリノイ大学アーバナシャンペイン校)
10.18958/5567-00001-0001493-00

免疫システムはさまざまな病態時に末梢ならびに中枢神経機能を制御する.そしてこの神経機能制御にかかわる免疫システムは状況に応じて変化する.この“状況”としてはさまざまあるが,病原体感染,身体的・精神的ストレス,老化,および性差を生み出す性ステロイドホルモンのバランス変化などがあげられる.ヒトでは常にこれらの状況因子がかかわることから,これらの状況因子が加わることで,免疫依存的な神経変性病態が大きく影響を受け,病気の性質や持続性,および薬物感受性が変化しうる.近年,状況変化に伴う免疫システム変調を考慮することが,病態形成機構の解明と,適切な治療方針の樹立に当たり重要視されてきている.本稿では状況に応じた免疫システム変調による神経機能制御について解説する.

多発性硬化症,感染,性差,ストレス,老化

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