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がん局所の代謝改善による免疫抑制の解除

Metabolic modification in tumor microenvironment ameliorates immune suppression
高塚奈津子,茶本健司
Natsuko Takatsuka/Kenji Chamoto:Department of Immunology and Genomic Medicine, Kyoto University Graduate School of Medicine(京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学講座)
10.18958/5605-00001-0001539-00

抗原特異的T細胞の機能維持・長期生存は,がん免疫療法の奏功の鍵を握る.T細胞の分化や機能制御に,細胞内エネルギー代謝が重要な役割を担うことがわかってきた.しかしがん局所のT細胞はがん細胞との代謝競合や種々の免疫抑制機序により,活性に必要なエネルギー量を確保できず,代謝疲弊に陥っている.われわれの研究室ではT細胞の代謝改善薬の併用がPD-1阻害抗体療法の治療効果を向上することを見出した.本稿ではがんの代謝特性による免疫抑制機構および,代謝制御によるT細胞応答増強のコンセプトについて解説する.

PD-1,解糖系,酸化的リン酸化,脂肪酸酸化,ミトコンドリア

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