スマホで読める実験医学
550円

新規がん免疫療法研究開発の「狂騒曲」

“Rhapsody” of novel cancer immunotherapy development
冨樫庸介
Yosuke Togashi:Division of Cancer Immunology, National Cancer Center Research Institute/ Division of Cancer Immunology, Exploratory Oncology Research & Clinical Trial Center, National Cancer Center(国立がん研究センター研究所腫瘍免疫研究分野/先端医療開発センター免疫TR分野)
10.18958/5605-00001-0001540-00

がん免疫療法の1つであるPD-1/PD-L1やCTLA-4といった免疫チェックポイントを標的とした薬剤は多くのがんで効果が証明されているが,その効果は満足のいくものでなく,全く無効で副作用だけが出てしまうような症例も存在し,効果予測バイオマーカーやより効果を高める治療方法が求められている.より効果の高い治療をめざして世界中では「狂騒曲」のようにがん免疫療法の開発競争がなされており,細胞傷害性抗がん剤との併用,他の免疫チェックポイントを標的にしたような薬剤や免疫抑制性細胞を標的とした薬剤などが注目されている.しかし,生物学的,特に免疫学的な裏づけに伴うような層別化なしで開発を行うことに限界が生じつつあり,今後は生物学的な特性に基づくような,新しい治療戦略が必要である.

がん免疫療法,免疫チェックポイント阻害剤,新薬研究開発

この記事は有料記事です

(残り約13,500文字)

  • 【スマホで読める実験医学】新規がん免疫療法研究開発の「狂騒曲」
    550円