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細胞のサイズを感知し,核のサイズは制御される:核のサイズスケーリング

Nuclear size scales with cell size
原 裕貴
Yuki Hara:Evolutionary Cell Biology Laboratory, Graduate School of Sciences and Technology for Innovation, Yamaguchi University(山口大学大学院創成科学研究科,進化細胞生物学研究室)
10.18958/5663-00001-0001557-00

生物を構成する最小単位である細胞は,周囲の環境に応じて,そのサイズ(大きさ)を変化させる.この細胞サイズの変化に合わせて,細胞機能を司る内部のオルガネラ(細胞小器官)のサイズも巧みに調整される.このオルガネラと細胞とのサイズの相関関係は100年以上前に発見された現象であるが,その後研究者の興味がオルガネラ構造の分子基盤の解析に傾倒するに従い,このサイズの関係性は研究者たちの記憶からしだいに忘れ去られていった.しかし近年,分子基盤の解明が著しく進展したことをきっかけに,ここ10年の間にサイズの制御機構に再び脚光が当たりはじめた.本稿では,オルガネラの中でも細胞機能の場として中心的な役割を果たす「核」に焦点を絞り,そのサイズの制御機構について概説する.

核,オルガネラ,細胞サイズ,スケーリング

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