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がん光免疫療法におけるキャリアとしてのペプチドの可能性

Peptides as potential carriers for near-infrared photoimmunotherapy of cancer
中島孝平,小川美香子
Kohei Nakajima/Mikako Ogawa:Laboratory of Bioanalysis and Molecular Imaging, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Hokkaido University(北海道大学大学院薬学研究院生体分析化学研究室)
10.18958/7173-00001-0000343-00

2020年,がんの新たな治療法として,近赤外光免疫療法(NIR-PIT)が認可された.NIR-PITでは,がん細胞に結合する抗体と光感受性化合物IR700の複合体(抗体-IR700)を薬剤として用い,腫瘍に光照射することで細胞障害を誘導して治療を行う.NIR-PIT薬剤において,抗体はIR700をがん細胞へ運搬するキャリアとして働く.抗体と比較し,ペプチドは安価に製造できるため,キャリアとしてペプチドは利用価値が高いと考えられる.しかし,最近われわれは,抗体とペプチドでは,主要な細胞障害メカニズムが異なることを報告した.本稿では,抗体-IR700を用いたNIR-PITのメカニズムと,ペプチド-IR700のメカニズムとの違いを概説する.

近赤外光免疫療法,がん,分子標的治療,キャリア

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