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リソソームと細胞老化

Lysosomes and senescence
中西 真
Makoto Nakanishi:Division of Cancer Cell Biology, Institute of Medical Science, The University of Tokyo(東京大学医科学研究所癌防御シグナル分野)
10.18958/7277-00001-0000513-00

多様な臓器や組織に起こる過剰な慢性炎症は,これら臓器・組織の機能不全を引き起こし,個体老化の大きな原因となる.老化細胞はさまざまな炎症物質を分泌するため(senescence-associated secretory phenotypes,SASP),この加齢に伴う慢性炎症に老化細胞の蓄積が重要な役割を果たしていると考えられている.われわれは,細胞老化に伴いタンパク質凝集体がリソソーム内に蓄積し,リソソーム膜に損傷を誘導して細胞内酸性化を生じていることを見出した.老化細胞は生存するためにGLS1タンパク質によりグルタミン代謝の過程でアンモニアを産生させて中和していると考えられる.この経路を遮断することで老化細胞を個体内から選択的に除去できる可能性が提唱されている.

リソソーム膜損傷,SASP,老化細胞除去薬,細胞内酸性化,GLS1

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