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解糖系酵素PKMとがん代謝,アップデート:ワールブルグ効果仮説は振り出しに戻った

Cancer glucose metabolism revisited
田沼延公
Nobuhiro Tanuma:Miyagi Cancer Center Research Institute/Tohoku University Graduate School of Medicine(宮城県立がんセンター研究所/東北大学大学院医学系研究科)
10.18958/6845-00001-0000758-00

解糖系酵素PKMには高活性型のPKM1・低活性型のPKM2という2つのスプライシングisoformが存在し,大半のがんがPKM2を選択的に発現する.かつて,PKM2はワールブルグ効果との関連が深く腫瘍に代謝上の有利をもたらすとされていたが,PKM2欠損マウスの表現型は“がん促進”だった.われわれは,最近,新たなPkm遺伝子改変マウス群を作製し,がんや代謝制御におけるPKM1・PKM2の役割を再検証した.マウス発がん試験や細胞移植実験などを通じ,真に腫瘍促進的なのは,PKM2ではなく,驚いたことにPKM1の方であることがわかった.実際にPKM1を高発現し,その生存・増殖をPKM1に依存する高悪性がんの存在も明らかになった.

PKM1,PKM2,ワールブルグ効果,グルコース代謝,小細胞肺がん

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