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がん代謝の数理学的解析による仮説生成と検証

Hypothesis generation and verification by quantitative analysis of cancer metabolism
松田史生
Fumio Matsuda:Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University(大阪大学大学院情報科学研究科)
10.18958/6845-00001-0000764-00

がん細胞が好気的解糖を行う(ワールブルグ効果)理由の解明は,がん代謝研究の重要課題の一つである.代謝フラックス解析をがん培養細胞に適用し,代謝を定量的に解析すると,細胞増殖への好気的解糖の役割には再検討の余地が多くあることがわかる.例えば,細胞増殖に必要な基質供給量は,解糖系の代謝フラックスに比べて2桁以上少なく,総ATP再生量のうち細胞増殖に利用されているのは15%程度しかない.そのようななかで,ゲノムスケール代謝モデルを用いたがん代謝のシミュレーションが可能となっており,がん代謝の仮説検証やデータ駆動型の仮説生成が可能になってきている.

好気的解糖,13C-代謝フラックス解析,ゲノムスケール代謝シミュレーション

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