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化学物質曝露による職業がんの発生要因とメカニズム:動物実験を基礎とした新たな職業性膀胱がん原因物質の発見

Occupational cancers associated with chemical exposure and their underlying mechanisms: Identification of new occupational urinary bladder carcinogens by animal studies
鰐渕英機,魏 民,鈴木周五
Hideki Wanibuchi1)/Min Gi2)/Shugo Suzuki1):Department of Molecular Pathology, Osaka City University Graduate School of Medicine1)/Department of Environmental Risk Assessment, Osaka City University Graduate School of Medicine2)(大阪市立大学大学院医学研究科分子病理学1)/大阪市立大学大学院医学研究科環境リスク評価学2)
10.18958/6619-00001-0000941-00

職業に起因する発がん要因に曝露され生じるがんを職業がんといい,産業の発達とともに大きな問題となっている.職業性膀胱がんは主に染料産業に発生し,芳香族アミンが主な原因物質として報告されている.日本でも2019年にオルトトルイジンにさらされる業務による膀胱がんが,厚生労働省の「職業病リスト」に記載され,労災補償の対象となり話題となった.われわれは同工場で生産されていた新規芳香族アミンの発がん性およびそのメカニズムを,動物実験を介して解明した.ここでは,職業がんの歴史から発がん物質の検出法,動物実験モデルの有効性について解説したい.

職業性膀胱がん,芳香族アミン,OTD,AAOT,ラット膀胱発がんモデル

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