(前略)
しかし,脳卒中診療がもうすでに成熟した疾患領域であるかというと,そうではありません.確かに,治せる患者さん,つまり,神経症状が改善して,歩いて自宅に帰ることができる患者さんが増えたことは間違いありませんが,このような再開通療法を受けている脳梗塞の患者さんは全体のわずか10%足らずで,さらに,その恩恵を受ける,つまり,症状がよくなる患者さんはその半分程度と考えられています.その原因を突き詰めれば,問題はただ1つ.「時間」です.(中略)現在の脳梗塞超急性期診療の課題は「治療までの時間をいかにして短縮」できるか,ということに集約できると思います.より多くの脳梗塞患者さんを救うために,現在どのような取り組み,診療が行われているか.このことを読者の皆さんに知っていただき,そして「自分ができることは何か?」ということにまで思いを巡らせていただけるようになれば,この特集の目的をほぼ達成したものと,私は考えます.
ここまで,脳梗塞「超」急性期治療に焦点をあてて書いてきましたが,そこですべてが完結するわけではないことは誰もが理解するところでしょう.先に述べた通り,脳梗塞の再開通療法を受けられない患者さんが大多数ですし,さらにその治療を受けようが受けまいが,すべての脳梗塞患者さんが超急性期を過ぎた急性期診療に移行していきます.冠動脈疾患をはじめとしたほかの血管病と違い,稀なものまで含めると,脳梗塞の原因は多岐にわたります.その原因検索を深慮した再発予防についても,この特集で専門の先生の寄稿をいただいています.個人的には脳卒中診療で最も重要なエビデンスと考えるStroke Unit(多職種によるチーム医療)と,そこで展開されるリハビリテーションも脳血管障害特有の課題です.出血性脳血管障害患者さんを診療する機会もありますので,読者の皆さんにそのエッセンスを伝えていただく稿も設けています.
明日,脳卒中疑い患者さんが来院したときに,一歩前に出て診療を開始される皆さんの姿を想像しつつ,「特集にあたって」の稿を終えたいと思います.皆さんのお役に立てる特集であることを切に願っております.
脳卒中の患者さんに出会ったときの考え方・動き方を解説.素早い診断や初期治療はもちろん,再発予防や病棟管理・リハビリまで,目の前の患者さんの生命予後・機能予後を改善させるためになすべきことがわかります!
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(2021年8月23日)
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