ポリファーマシーへの介入の重要性は近年あらゆる場面で強調されています.しかし,それが問題とはわかっていても,忙しい診療のなかでどのように介入すればよいかという具体的な方法についてはわからないという声を多く聞きます.それは,ポリファーマシーを生む要因が種々絡み合っており,その対応が難しいことが原因です.また,診療の現場では医療者も患者も,「薬の足し算」という行動を「薬の引き算」に変容することに苦慮しているのが現実です.今回の特集では,ポリファーマシーの負の弊害についての知識だけではなく,では現場でどのように介入していくかという視点で特集を企画しました.
(中略)
ポリファーマシーへの介入をはじめて,私自身が感じていることは,「ポリファーマシーのゴールはどこか?」ということです.10剤から5剤に減ったということは確かによいことですが,この数字だけ見ていると患者さんの思いに応えているのか,目標達成した自分に満足しているのかわからなくなることがあります.ポリファーマシーや内服アドヒアランスの問題は,患者さんの思いなくしては語れません.患者さんによっては,薬が多い方が安心という気持ちの方もいるでしょうし,飲み忘れだと医療者は考えていたが,実は飲むのを密かに拒否している患者さんもいるのです.このような患者さんの思いは医師だけでは到底理解できず,多職種での情報共有や対策の相談が必要であると,特に感じています.
(中略)
本特集を通して,ポリファーマシーへの今日からできる介入方法と,多職種連携の重要性,特に問題点を共有し多職種で対策を話し合うことの大切さが伝われば,編者としてこれほど嬉しいことはありません.ぜひ,本特集を読んで実践してみてください!
「多剤併用は問題とわかっていても介入できていない」という方へ!患者背景をふまえた外来・病棟・在宅でのアプローチ,他院・薬局との連携や意外と知らないお薬手帳の活用法など,医師・薬剤師の両視点から解説!
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(2021年8月23日)
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