実験医学増刊 Vol.22 No.11

成熟・展開する

アポトーシス研究

分子機構や個体レベルの解析,非アポトーシス型細胞死研究への拡がりから疾患解明・医療応用まで

  • 辻本賀英,一條秀憲/編
  • 2004年07月20日発行
  • B5判
  • 218ページ
  • ISBN 978-4-89706-104-7
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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発生・癌・神経疾患・免疫などさまざまな現象にかかわるアポトーシス.近年では,アポトーシス誘導の多様な機構の解明が進むとともに,これまであまり明らかでなかった非アポトーシス型細胞死についても研究が進みつつある.また,アポトーシス関連分子は治療や創薬ターゲットとしても注目され,疾患とアポトーシスのかかわりも精力的に研究されている.本書ではそれらのトピックスを含め,細胞死研究の最新成果を第一線で活躍する研究者が紹介します!

目次

概論:細胞死研究の新たな展開と挑戦【一條秀憲】

  • アポトーシスの誘導と開始機構
  • アポトーシスの決定・実行過程とその制御機構
  • 非アポトーシス型細胞死
  • 個体レベルでの細胞死研究と疾患

第1章 アポトーシスの引き金

1. デスレセプターとDISC関連分子【岡本一男,米原 伸】

  • デスレセプターの概要
  • Fasを介したアポトーシス誘導シグナル伝達機構
  • Fas下流で機能する関連分子

2. TGF-βスーパーファミリーとアポトーシス【福田直美,斉藤正夫,宮園浩平】

  • TGF-βスーパーファミリーのシグナル伝達
  • TGF-βスーパーファミリーによるアポトーシスの生理学的役割
  • TGF-βスーパーファミリーによるアポトーシスの分子機構

3. アポトーシス誘導における細胞縮小化とClチャネルの役割【岡田泰伸,清水貴浩】

  • アポトーシス性細胞容積減少(AVD)は分オーダーの早い現象である
  • AVDの発生はKチャネルとClチャネルの活性化によってもたらされる
  • AVD誘導性Clチャネルは容積センサーClチャネル(VSOR)であり,そのシグナルに活性酸素種が関与する
  • アポトーシスにはVSOR活性化とAVD発生が不可欠であるようだ

4. p53によるアポトーシス制御とその新展開【荒川博文】

  • DNA傷害時におけるp53の活性化
  • p53による転写制御を介したアポトーシス誘導
  • p53による転写制御を介さないアポトーシス誘導
  • dependence receptorとp53によるその制御
  • p53類似タンパク質によるアポトーシス制御
  • その他の話題

5. BH3-onlyタンパク質:DNA傷害によるアポトーシス誘導の実行因子としての役割【渋江 司,谷口維紹】

  • BH3-onlyタンパク質の特徴
  • BH3-onlyタンパク質の役割
  • BH3-onlyタンパク質の作用機構

6. DNA二重鎖切断によるアポトーシス【清水重臣,小西昭充,辻本賀英】

  • DNA二重鎖切断によるアポトーシスの分子機構
  • X線誘導性アポトーシスにおけるミトコンドリア上流でのシグナル
  • ミトコンドリア膜透過性亢進因子としてのヒストンH1.2

7. 小胞体ストレスによるアポトーシス【片山泰一,遠山正彌】

  • 小胞体ストレスの定義と生体の反応
  • ERストレスが引き起こす細胞死

第2章 アポトーシスの実行・制御

1. Bcl-2ファミリー概論【清水重臣,辻本賀英】

  • アポトーシスのシグナル伝達機構
  • Bcl-2ファミリータンパク質の構造と分類
  • BH3-onlyタンパク質の機能
  • Bax/Bakの活性化機構
  • Bcl-2ファミリータンパク質の生理機能

2. IAPとその阻害因子【鈴木泰行,高橋良輔】

  • IAPファミリータンパク質
  • IAP阻害タンパク質
  • IAPとその阻害タンパク質によるアポトーシス制御

3. PI3K-Akt経路によるアポトーシス抑制機構とその阻害剤開発の現状【藤田直也,鶴尾 隆】

  • PI3K-Akt経路の活性制御機構
  • PI3K-Akt経路による細胞生存・増殖の制御機構
  • PI3K-Akt経路を標的にした抗癌剤開発の現状

4. ASK1の活性化機構とアポトーシスの制御【高河原周一,武田弘資,一條秀憲】

  • ASK1の構造と活性制御
  • ASK1によるアポトーシスの制御
  • ASK1結合分子による活性制御機構

5. SAPK/JNK系の活性化機構と生理的役割【仁科博史,中川健太郎,堅田利明】

  • 胎仔肝形成に必須な2種類のSAPK/JNK活性化因子SEK1とMKK7
  • SEK1とMKK7による相乗的なSAPK/JNK活性化機構
  • SAPK/JNK活性化と細胞の生死の制御

6. 細胞内小器官特異的caspase活性化機構と細胞死シグナル【光田輝彦,中川敏幸】

  • caspaseファミリーについて
  • 細胞内小器官におけるcaspase活性化とアポトーシス

7. アポトーシスを司るDNAエンドヌクレアーゼ【田沼靖一,塩川大介,小林隆信】

  • アポトーシスにおけるDNA断片化
  • アポトーシスDNase
  • 筋芽細胞分化に伴うアポトーシスにおけるDNaseγの関与

第3章 非アポトーシス型細胞死

1. 虚血による細胞死【新沢康英,辻本賀英】

  • 虚血により誘導される細胞死
  • 虚血時に誘導されるcaspase非依存的細胞死とその形態的特徴
  • 核収縮因子の同定
  • 虚血による細胞死とPLA2
  • PLA2の核移行

2. オートファジーを伴う細胞死【水島 昇】

  • 細胞内分解系としてのオートファジー
  • オートファジーの分子機構
  • オートファジーの阻害方法
  • オートファジーのモニター方法
  • 「オートファジー」と「オートファジーを伴う細胞死」との混乱
  • 細胞死におけるオートファジーの意義

3. 神経変性疾患と細胞死【垣塚 彰】

  • ポリグルタミン病
  • 異常タンパク質を認識するセンサータンパク質としてのVCPの同定
  • 神経変性疾患発症におけるVCPの関与の可能性
  • 異常タンパク質の蓄積とVCPとERストレス
  • 酸化ストレスとVCP

4. 癌と非アポトーシス型プログラム細胞死【北中千史】

  • 癌関連遺伝子と非アポトーシス型プログラム細胞死
  • 抗癌剤と非アポトーシス型プログラム細胞死
  • 癌における非アポトーシス型プログラム細胞死の役割:Ras依存的非アポトーシス型細胞死

第4章 生体における細胞死

1. タンパク質分解系による死の制御〜ショウジョウバエからのブレイクスルー【倉永英里奈,三浦正幸】

  • ショウジョウバエにおける技術的メリット
  • ショウジョウバエの細胞死制御経路

2. ショウジョウバエの個体発生と細胞死【木村賢一】

  • 頭部形成におけるHox遺伝子による細胞死制御
  • 中枢神経系における正中グリア細胞(midline glia :MG)の細胞死制御
  • 変態過程におけるホルモンによる細胞死制御

3. リンパ球選択とアポトーシス【鍔田武志】

  • 胸腺における選択とT細胞アポトーシス
  • Bリンパ球の選択とアポトーシス

4. アポトーシスによる配偶子選別のしくみと意義【中西義信,白土明子】

  • 生殖巣の成立と配偶子形成
  • 生殖細胞成熟過程でのアポトーシス
  • アポトーシスによる生殖細胞選別の意味
  • アポトーシスによる生殖関連器官の機能調節

5. 両生類における筋の発生運命とプログラム細胞死のしくみ【西川彰男】

  • 変態期の細胞死を引き起こすのは甲状腺ホルモンだけではない
  • 筋細胞死は尾だけでなく胴の背筋にも起こる
  • 幼生型筋のプログラム死は筋前駆細胞のレベルで起こる
  • To be or not to be? 成体型筋芽細胞と幼生型筋芽細胞の生死運命の調節

6. 脳発生と細胞死【大石康二,後藤由季子】

  • 発生初期の細胞死
  • 形態変化に伴う細胞死
  • 散発的に起こる細胞死
  • 非アポトーシス型細胞死

第5章 細胞死と疾患

1. Fasリガンドによるアポトーシスと炎症と癌【須田貴司】

  • アポトーシスと炎症の分子機構の類似性
  • Fasリガンドによる炎症の抑制と促進
  • Fasリガンドと炎症性疾患と癌

2. パーキンソン病のドパミン神経細胞死【望月秀樹,安田 徹,古谷 剛,水野美邦】

  • 家族性パーキンソン病
  • 弧発性パーキンソン病

3. アルツハイマー病と神経細胞死【今泉和則】

  • アルツハイマー病について
  • アルツハイマー病原因遺伝子プレセニリンと神経細胞死

4. タンパク質構造異常による細胞死と糖尿病【浦野文彦】

  • 小胞体ストレス(ERストレス)とunfolded protein response(UPR)
  • IRE1経路の異常によって引き起こされる糖尿病
  • PERK経路の異常によって引き起こされる糖尿病

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  • 【本書名】実験医学増刊:成熟・展開する アポトーシス研究〜分子機構や個体レベルの解析,非アポトーシス型細胞死研究への拡がりから疾患解明・医療応用まで
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