第3回 さあ,書きはじめよう! 研究課題名と研究目的
ともかく,これに尽きる.審査員はこの申請内容については予備知識もなにもなく,まったく知らないと思うこと.「わかりやすく」という表現自体抽象的でわかりにくいが,私が考える「わかりやすく」のレベルはというと,
などというくらいがちょうどいい.
すでに発表済みの研究結果だけでなく,未発表の予備実験のデータ(もちろん研究計画がうまく行くことを示すデータ)を入れておくといい.こうすると,研究が進んでいて,興味深い実験データが出ているという印象を与えて,研究計画に説得力が増す.ただし,もちろん未発表データだらけでは逆効果の場合もあるのでご注意を.
研究計画や予備データを説明する図を入れると非常にわかりやすい.ただし,複雑な図はだめで,一目で理解できる簡単なオリジナルな図にすること.他人の論文や総説から取ってきた図は使わない方がいい.あくまでオリジナルで(図2).
研究目的のところで「適宜文献を引用しつつ記述」と書いてあるので,文中に参考文献を記入している申請書も多い.しかし,自分の論文を引用してアピールする目的以外には,参考文献を文中に入れるのは最小限でいい.審査する時間が限られているため,おそらく審査員はわざわざ参考文献まで調べることはほとんどない.むしろ他人の参考文献をたくさん書いていると,どこがオリジナルな研究なのか疑われて印象がよくない.むしろ,参考文献がなくても研究内容がわかるように書くべきだ.
自分の論文の引用であることをアピールするには,『~のことを申請者らは明らかにした(Kojima et al. Endocrinology 2005).』などと記入すればいい(図2).筆頭著者でないなら,筆頭著者と自分の名前だけを書いておけばいい.『(Sato, Kojima et al. Endocrinology 2005)』などにする.
※データ・年次などは連載当時のものです.現在とは異なる場合があります
児島将康/著
定価 3,800円+税, 2015年8月発行