高等生物においては,グルコースが正常状態のエネルギー代謝の主役である.一方,長期飢餓状態では,肝臓における脂肪酸分解によって,ケトン体に加えて「酢酸」が血中に放出される.酢酸は,末梢組織で利用されることから,緊急時の栄養源であると認識されてきた.しかし近年,iPS細胞が,グルコース利用の亢進と同時に,多量の酢酸を蓄積することが観察されており(Folmes CD, et al:Cell Metab, 14:264-271, 2011),正常時でも酢酸が利用されると推測された.ヘブル大のMoussaieff,Nahmiasらの研究グループは,早期分化状態のES細胞における代謝ダイナミクスを解析し,酢酸が2型アセチルCoA合成酵素(ACSS2)を介し細胞内で利用されていることを報告した(Moussaieff A, et al:Cell Metab, 21:392-402, 2015).
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