タンパク質の立体構造がアミノ酸配列にしたがって一義に決まるという古典的なタンパク質観(Anfinsenワールド)はさまざまな概念の登場によって揺さぶられている.シャペロンにより,細胞内でのタンパク質フォールディングは必ずしも自発的ではないという考え方が広まり,プリオン/アミロイドによりAnfinsenワールドで完成する天然構造が唯一安定な立体構造ではない場合があることがわかってきた.さらに,天然変性タンパク質(intrinsically disordered proteins:IDP)の概念の登場により,真核生物タンパク質の無視できない割合(バイオインフォマティクスによると全タンパク質の数十%にも及ぶらしい)が,自分自身のアミノ酸配列だけでは特定の立体構造を取らないことがわかりつつある.
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