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トピックス

顕微鏡画像から個々の細胞を認識するRACE法

国立遺伝学研究所 木村 暁

れわれヒトを含む多細胞生物は,1個の受精卵から細胞分裂をくり返し多くの細胞からなる個体を発生させる.この胚発生の過程を顕微鏡下で観察できる生物種も多く,胚発生の観察はそのメカニズムの理解の基本となっている.各発生過程で細胞一つひとつを認識することができれば,細胞がいくつあり,それぞれがどのような形をしていて,どの細胞と接触しているかを知ることが可能である.しかし,この作業を人間の目と手で行うことはたいへんな労力と時間を要するため,計算機による画像処理に期待がかかっている.近年の顕微鏡技術の進展に伴い,空間的にも時間的にも高解像度で画像を取得できるようになったが,得られるデータ量は膨大で従来法では1個体から得られた画像を処理するのに数カ月もかかる計算となる.そこで,本論文の筆者たちは,従来法よりも100倍程度以上も高速に細胞を認識することができる「RACE法(real-time accurate cell-shape extractor)」を開発した(Stegmaier J, et al:Dev Cell, 36:225-240, 2016).

RACE法では蛍光タンパク質(GFPなど)を細胞の境界(細胞膜)に局在させ,

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2016年4月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2016年4月号 Vol.34 No.6
明かされる“もう1つの臓器”
腸内細菌叢を制御せよ!
宿主との相互作用のメカニズムから便移植の実際、バイオベンチャーの動向まで

福田真嗣/企画
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