抗マラリア薬アルテミシニンの発見にノーベル賞,欧州医薬品庁によりはじめてのマラリアワクチンRTS,Sが認可されるなど昨年は明るいニュースのあったマラリアだが,薬剤抵抗性のマラリア原虫の出現などの理由から,いまだに小児を中心として年間50万人程の人が命を落とす危険な感染症であり続けている.この認可を受けたRTS,Sだが,接種後3〜4年目での有効率が幼児と小児でそれぞれ26,36%と,効果の持続が短いことが判明しており,マラリア撲滅に向けて,長期にわたって感染防御免疫を誘導する理想的な新規ワクチンの開発が依然求められている.近年,米製薬会社のサナリアなどによるグループは,弱毒化マラリア原虫をワクチンとしてくり返し静脈内投与することでワクチン投与終了後3週目の検討で最大100%の有効率を得られたという有望なマラリアワクチンを報告したが(Seder RA, et al:Science, 341:1359-1365, 2013),このたびその効果の持続性についての興味深い追加報告がなされた(Ishizuka AS, et al:Nat Med, 22:614-23, 2016).
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