マラソンやロードバイクなど持久力を要する長時間のスポーツでは,運動中に肝臓や筋肉のグリコーゲンなどの糖質エネルギーが枯渇して急激に体が動かなくなる,いわゆる「hit the wall」や「ハンガーノック」とよばれる現象が起こることはよく知られている.スポーツ選手は予防のために,試合の1週間前から食事中の炭水化物量を抑え,数日前から高炭水化物食とすることでグリコーゲン貯蓄量を増加させる「グリコーゲン・ローディング法(カーボ・ローディング法)」を行っている.また,日ごろのトレーニングを通じた①ミトコンドリア量の増加,②タイプ1筋線維(遅筋線維)の増加,③脂肪酸代謝の向上はhit the wallの予防に有効であると考えられているが,これらは遺伝的に規定されている側面もあり改善は容易ではない.
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