読者の多くは普段「あの人,年の割には元気だなあ」とか,「あの人,随分老けて見えるわね」などよく耳にする一方,「子どもはみんな元気だね」とつい口にしてしまうのではなかろうか.生物学的な言い方をすれば,若い頃は分散値が小さく,加齢に伴いその値が増加するということであろう.「年をとれば病気にかかる人だって増えるんだし,そんなの当たり前」と思う方が多いのも当然.しかし,じつはヒトの体のなかでも,線維芽細胞の活性度の分散値が加齢に伴って増加し,その値しだいで病気やケガで寝込む人がいる一方,いつまで経っても子ども顔負けに元気ハツラツな高齢者がいるのではなかろうかと考えさせられる研究結果が報告された(Mahmoudi S, et al:Nature, 574:553-558, 2019).つまりわれわれの老後の健康状態は,自身の体のなかにある線維芽細胞に左右されていると言っても過言ではないのかもしれない.
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