唐辛子は,世界中の食卓を彩る大切なスパイスとして今日に至るまで重宝されているわけだが,それが,まさか骨髄移植のための造血幹細胞採取に有益であるなどということを,一体誰が想像できたであろうか?
G-CSFを投与することで末梢血に造血幹細胞が動員されることは古くから知られているが,最近,この現象が全身の痛覚神経の除去で顕著に障害されることが明らかとなった(Gao X, et al:Nature, 589:591-596, 2021).骨髄には多くの痛覚神経が分布していることから,痛覚神経由来の何らかの液性因子が,G-CSF誘導性の末梢血への造血幹細胞の動員を促進しているものと考えられた.
.....