生体内での細胞の移動には,好中球のように細胞単独での移動と,上皮細胞群のように細胞同士がお互いに接着した細胞集団としての移動がある.細胞集団の移動は,形態形成,創傷閉鎖,がん転移などの多くの発生および疾患の過程で機能している.このとき起こる上皮細胞の集合的な協調運動は,創傷の閉鎖だけでなく,形態形成において生物が能動的に開口部を塞ぐ現象(gap closure),すなわち背部閉鎖(dorsal closure)や神経管閉鎖(neural tube closure)など,にも不可欠である.
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