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危険なものを寄せ付けない.腸管上皮の優秀な門番

東京大学大学院農学生命科学研究科 村田幸久

Tuft(刷子)細胞は,胃腸管,胆嚢,鼻腔,気管などの上皮細胞にごくわずかに存在する細胞であり,その名(Tuft=房や茂み)の通り細胞の頂端面に微細な毛の密集したブラシ様の形態をもつ.近年このTuft細胞の腸管上皮における “門番” としての,高い能力が明らかになりつつある.

2016年に複数の研究グループが,小腸に蠕虫が感染すると,Tuft細胞がこれを感受してIL-25を産生し,2型自然リンパ球(ILC2)を活性化することを報告した(Gerbe F, et al:Nature, 529:226-230, 2016/von Moltke J, et al:Nature, 529:221-225, 2016/Howitt MR, et al:Science, 351:1329-1333, 2016).この時ILC2はTh2サイトカインであるIL-13の分泌を亢進し,寄生虫を駆逐するための獲得免疫機構を成立させる.これらの報告を皮切りに,Tuft細胞が原虫を感受するためのコハク酸受容体,遊離脂肪酸受容体,苦味受容体など,腸管内に遊離するさまざまな化学物質を捉える受容体を発現していることが報告されてきた(Schneider C, et al:Nat Rev Immunol, 19:584-593, 2019).

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DOI:10.18958/7133-00004-0000242-00

2022年10月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2022年10月号 Vol.40 No.16
免疫チェックポイント阻害薬の“耐性”に挑む
がん免疫サイクルから見出す戦略

冨樫庸介/企画
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