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「感染」を「感覚」するGABRA1ニューロンの発見

北海道大学遺伝子病制御研究所 月岡耕太郎,森本菜央,岡崎朋彦

邪を引いて熱が出たり食欲が落ちたりすることは誰しも経験することだろう.このような病原体の感染に伴う発熱や摂食量減少といった病態の誘導に,免疫細胞から産生される炎症性の生理活性物質の1つであるPGE2(prostaglandin E2)が重要であることが知られている.PGE2受容体のサブファミリーの1つであるEP3受容体遺伝子を中枢神経系においてノックアウトすると,細菌感染を模倣するLPS腹腔内投与に伴う病態が緩和されることから,末梢組織で産生されたPGE2が血液脳関門を透過し脳内で受容されると考えられていたが(Saper CB, et al:Nat Neurosci, 15:1088-1095, 2012),実際の病原感染においてどこでPGE2が受容された後いかなる神経回路を介して病態が誘導されているかは不明であった.しかし,今回Binらはマウスを用いたインフルエンザウイルスの経鼻感染モデルにおいて,感染部位で産生されたPGE2をその場で受容した後,感染情報を脳へと伝達する神経回路をはじめて発見した.つまり生体は「どこで」感染が起こっているのかを末梢において直接知覚している可能性が示唆されたのである(Bin NR, et al:Nature, 615:660-667, 2023).

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DOI:10.18958/7323-00004-0000580-00

2023年9月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2023年9月号 Vol.41 No.14
ヒトゲノムに残されたフロンティア 内在性ウイルス様配列EVE
敵か味方か?ゲノムの “パラサイト” の正体に挑む

石野史敏/監,川崎純菜,小嶋将平,小林(石原)美栄/企画
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