哺乳類において脳発達期間は生物種によって異なるが,脳発達段階における発生プログラムには多くの共通性がみられる.哺乳類の妊娠期間には大きな違いがあり,例えばキタオポッサム(Virginia opossum)は11日しかないが,インドゾウは655日も必要とする.脳発達期間が脳の形態変化に現れる顕著な例として,ヒトの巨大な大脳新皮質は発生期の神経細胞増殖期の延長が反映されている(Stepien BK, et al:Curr Biol, 30:4227-4237.e5, 2020).一方哺乳類間における脳発達期間の違いが,発生プログラムのタイミングや発生速度へどのような影響を与えるのかは不明であった.
.....
DOI:10.18958/7381-00004-0001094-00