めざせ実験の達人-トラブル回避のコツと最新キットで極める!
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めざせタンパク質定量と染色の達人
Question

Q1. なぜ280 nmの吸光度を測定するとタンパク質濃度がわかるんでしょうか…

Answer
A.タンパク質が光を吸収する性質を理解しよう
一般にタンパク質溶液は,ペプチド結合に由来する紫外吸収ピーク(200〜215 nm付近)と,芳香族アミノ酸(チロシン,トリプトファン)の側鎖に由来する280 nmの吸収ピークを示す.このうち,200〜215 nm付近のピークは他の溶媒成分などの吸収波長と重なるため,このピークを用いたタンパク質濃度の測定方法は実用的ではない.しかし280 nmの吸収は他の成分との波長の重なりが少ないため,この280 nmにおける吸光度をタンパク質の定量に用いることが出来る.
タンパク質によってチロシンやトリプトファンの含量が異なるため,タンパク質間で値は変化するが,さまざまなタンパク質を含んだ粗タンパク質溶液の場合,280 nmにおける吸光度(1 cmの光路長セルを用いた場合)が1のとき,その溶液のタンパク質濃度は概ね約1 mg/mL程度となる.実際に,対象タンパク質の280 nmにおける吸光度とタンパク質濃度を一度測っておけば,その後の対象タンパク質の濃度の推定がラクになる.

タンパク質定量の概要定量と染色のQ&A一覧へQ2 異常に高値

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プロフィール

森山先生
森山 達哉(Tatsuya Moriyama)
京都大学農学部食品工学科卒.同大学院農学研究科修士課程,博士課程ののち,京都大学食糧科学研究所助手 等を経て2005年に近畿大学農学部講師,2008年准教授.その間,1996年米国スタンフォード大学招聘研究員(1年間).毎日多くの元気な学生たちと一緒に,食品成分の生理機能性(特に脂質代謝への影響)と安全性(特にアレルゲン性)に関する研究を行っている.基礎研究だけでなく,社会の役に立つ「アウトプット」を意識した研究を進めています.
<著作>
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