実験医学増刊 Vol.26 No.10

RNAの機能解明と医療応用

最新の解析戦略と機能性RNAの知見から,RNA異常と疾患の関わり,RNA医薬・診断への応用まで

  • 林崎良英,安田 純/編
  • 2008年06月05日発行
  • B5判
  • 220ページ
  • ISBN 978-4-7581-0291-9
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
実験医学誌 定期購読のご案内
PDFダウンロード

※本書の正誤表はこちらをご参照下さい.

近年,RNAの今まで知られていなかった役割が次々と明らかになり,注目を集めています.本書では,microRNAなどの機能性RNAの解析からRNA関連疾患,創薬への応用まで,最新の知見を紹介します.

目次

−概論− RNA新大陸とその臨床的意義【林 良英,安田 純】

  • はじめに:RNA新大陸とは何か/本書の構成と内容
  • おわりに:技術革新がもたらす新たな医療

第1章 哺乳類トランスクリプトーム解析とRNA新大陸

1.マウストランスクリプトーム総論【古野正朗】

  • マウス完全長cDNA配列の解析
  • 多様な発現調節様式
  • noncoding RNA

2.ENCODEプロジェクトとゲノムネットワークプロジェクトの展望【鈴木貴紘,河合 純】

  • ゲノムネットワークプロジェクトとENCODEプロジェクトの概要
  • ENCODEプロジェクト・ゲノムネットワークプロジェクトにおけるトランスクリプトーム解析

3.RNA研究から見えてきた転写制御ネットワーク【窪崎敦隆,鈴木治和】

  • コードRNAの発現情報を用いた転写制御ネットワークの描写
  • nonミcoding RNAによる転写制御
  • 今後の転写制御ネットワーク研究を支える解析技術

4.CAGE(cap analysis of gene expression)法【森田良治】

  • CAGE法の原理
  • 転写開始点の多様性

5.次世代シークエンサーによるRNA研究の新展開【前田倫広】

  • 次世代シークエンサーの原理
  • 次世代シークエンサーの利用範囲
  • 次世代シークエンサーにおける今後の課題

6.タンパク質ミRNA相互作用の解析技術【金森 睦】

  • タンパク質ミRNA相互作用を検出する生化学的手法
  • スリーハイブリッドアッセイ法(threeミhybrid assay screen)
  • 免疫沈降産物のマイクロアレイによる解析
  • CLIP(ultraviolet crossミlinking and immunoprecipitation)法

第2章 機能性RNAの生理学

1.miRNA概論:最近の知見【安田 純】

  • miRNAとは
  • イントロンとmiRNA
  • miRNAの進化
  • miRNAの機能についての最近の知見:翻訳抑制or翻訳促進?
  • 幹細胞でのmiRNAプロセシング:Linミ28によるletミ7のプロセシング阻害

2.miRNAとsiRNAの生化学【泊 幸秀】

  • siRNA経路
  • miRNA経路

3.RNAヘリカーゼが媒介するmiRNAとrRNA生成【山形 薫,藤山沙理,福田 亨,加藤茂明】

  • RNAヘリカーゼの多様な分子機能
  • RNAヘリカーゼp68とp72
  • RNAヘリカーゼ遺伝子欠損マウスの作出と解析
  • RNAヘリカーゼとmiRNA
  • RNAヘリカーゼとrRNA

4.宿主/病原体相互作用─RNA波:HIV-1とmiRNA遺伝子によるプロモーター干渉【藤井陽一】

  • 哺乳動物でのRNA干渉の発見:プロモーター干渉の証明
  • レトロトランスポゾンからの贈り物:miRNA遺伝子の発見
  • 理論生物学の本格化:アルゴリズムと実験

5.piRNAとPiwiの生殖系列細胞における機能【渡部聡朗】

  • Piwiタンパク質とpiRNA
  • Piwi subfamilyタンパク質とpiRNAの機能

6.X染色体不活性化を制御するFunctional Non-coding遺伝子【小川裕也,Jeannie T. Lee】

  • X染色体不活性化とnonミcoding遺伝子
  • アンチセンス遺伝子TsixによるXist発現制御
  • X染色体不活性化におけるXist RNAの役割

7.核内mRNA型non-coding RNA【中川真一】

  • 「非特異的」な核内mRNA型nonミcoding RNA
  • 機能がよくわかっている核内mRNA型nonミcoding RNA
  • 核内コンパートメントを形成すると思われるmRNA型nonミcoding RNA
  • 核内繋留のメカニズム 5.そのほかの核内mRNA型nonミcoding RNA

8.神経幹細胞の生物学とnon-coding RNA【栃谷史郎】

  • 神経幹細胞の自己複製に関わるnonミcoding RNA
  • 神経幹細胞の移動のメカニズムとnonミcoding RNA
  • 神経幹細胞の細胞運命決定のメカニズムとnonミcoding RNA
  • 神経幹細胞から分化した細胞の成熟過程とnonミcoding RNA

9.miRNAとエピジェネティクス【渡邉すぎ子,赤星慎一,渡邊丈久,中尾光善】

  • エピジェネティクス機構のmiRNAによる制御
  • miRNA発現のエピジェネティクス制御

10.パラミューテーションとRNA─RNAは遺伝情報物質となり得るか【川野光興】

  • 植物におけるパラミューテーション
  • マウスにおけるパラミューテーション
  • パラミューテーションの分子メカニズム
  • パラミューテーションの生物学的意義

11.海外で進む重要研究課題

Ⅰ miRNAアトラス【高橋由香里】
  • miRNA expression atlas
Ⅱ 神経系とmiRNA【長谷川由紀】
  • 神経系の発達におけるmiRNAs
  • miRNAと神経疾患
Ⅲ 免疫系と血液系のmiRNA【外丸靖浩】
  • 造血幹細胞分化におけるmiRNAの役割
Ⅳ 循環器系とmiRNA【安藤吉成】
  • miRNAによるMHC遺伝子発現制御
Ⅴ non-coding RNA発現による下流プロモーターの抑制【前野恵美】
  • lncRNAによるプロモーター抑制機構
Ⅵ ヒト超速進化RNAと脳機能【於保祐子】
  • ヒトとチンパンジーのゲノムの違い
  • ヒトで超速進化を示すnonミcoding RNA
  • 脳機能のトレードオフ
Ⅶ RNA修飾についての最新知見─RNAによるRNA修飾の制御【花見健志,伊藤昌可】
  • リボスイッチによるQueuosine生合成の制御

第3章 RNAからみた疾病

1.スプライシング機構異常と網膜色素変性【佐藤 肇】

  • 網膜色素変性
  • 網膜色素変性とpreミmRNAスプライシング遺伝子
  • スプライシング機構
  • 網膜変性が生じるメカニズム
  • 無症候性キャリア
  • 自験例
  • preミmRNAスプライシング遺伝子変異による網膜色素変性の頻度

2.筋強直性ジストロフィー発症に関わるRNA結合タンパク質ファミリーの新しい機能【大西 隼,石浦章一】

  • DMにおけるスプライシング異常
  • DM発症メカニズムの謎
  • MBNLファミリー
  • CELFファミリー
  • MBNLとCELFの拮抗関係
  • DMにおけるMBNLとCELFの発現量
  • MBNL1の相互作用タンパク質と細胞内動態

3.ミトコンドリア病におけるRNA【後藤雄一】

  • ミトコンドリア病とは
  • mtDNAの構造と機能−概観
  • mtDNAの複製・転写システムと その破綻
  • ミトコンドリア内翻訳におけるRNAとその異常

4.インプリンティングと non-coding RNA【木住野達也】

  • インプリンティングドメインにおけるncRNA
  • ncRNAによるインプリンティング制御メカニズム

5.RNA編集と関連する疾患【河原行郎,西倉和子】

  • RNA編集のしくみ
  • 皮膚疾患DSHとADAR1遺伝子変異
  • 神経変性疾患ALSに認められるRNA編集異常
  • セロトニン5ミHT2C受容体のRNA編集と精神疾患

6.癌の発生と進展過程に関わるmiRNAの異常【田口 歩,高橋 隆】

  • miRNAと癌

7.テロメレースと癌─テロメレースの新たな機能【古内美穂,増富健吉】

  • telomere terminal transferaseからreverse transcriptaseへ
  • reverse transcriptase触媒 サブユニットの同定
  • テロメレースと癌:古典的モデルと癌
  • テロメレースと癌:新たな流れと癌
  • RNA研究とテロメレース

第4章 医療応用をめざすRNA研究

1.miRNA発現プロファイル解析による癌の診断への応用【秋山好光,湯浅保仁】

  • マイクロアレイによるmiRNA発現プロファイルの解析
  • 癌におけるmiRNA発現異常の意義
  • miRNA発現のエピジェネティックな制御
  • パラフィン包埋検体を用いたmiRNA発現解析

2.スプライソスタチン─スプライシング阻害剤の発見とその生理作用【吉田 稔】

  • FR901464の発見
  • 標的分子の探索−ケミカルバイオロジー手法の適用
  • スプライシングの分子機構とSF3b複合体
  • スプライソスタチンAによるpreミmRNAの蓄積
  • スプライソスタチンA処理によるイントロン配列の翻訳
  • SF3bはpreミmRNA核内保持因子か?
  • 新しい抗癌剤の標的としてのスプライソソーム

3.転写後制御を標的とした遺伝子疾患治療─異常mRNAから正常なタンパク質を合成させる低分子化合物【稲田利文】

  • 細胞内異常mRNAと品質管理機構
  • 遺伝病の治療戦略52:遺伝子治療
  • 遺伝病の治療戦略<2:低分子化合物による発現制御
  • 感染症治療の標的としての転写後制御
  • 転写後制御を標的にした創薬の展望

4.RNA医薬【金 玲,藤原将寿,中村義一】

  • アンチセンス医薬
  • RNA干渉(RNAi)医薬
  • アプタマー医薬

5.米国におけるRNAアプタマーによる創薬の現状【西村純一】

  • アプタマー創薬
  • 米国におけるRNAアプタマー医薬の開発状況
  • アプタマー医薬の特徴と可能性

6.RNA医薬の特許動向【中登俊幸,平林加壽子】

  • RNA医薬に関連する特許出願
  • siRNA関連基本特許の審査,登録状況
  • RNAi医薬ビジネスの展開と特許

7.RNAの合成と創薬【増田博文,矢野純一】

  • RNA化学合成における2′ミ水酸基保護基の重要性
  • 汎用されているTBDMS基
  • 新しい2′ミ水酸基保護基(CEM基)の開発
  • RNA 110merの化学合成
  • 合成RNA 110merの分析
  • RNA 110merの生物活性

購入方法・送料について

本書は全国の羊土社取扱書店にてご購入いただけます.店頭にて見当たらない場合は,下記情報を書店にお伝え下さい.

  • 【本書名】実験医学増刊:RNAの機能解明と医療応用〜最新の解析戦略と機能性RNAの知見から,RNA異常と疾患の関わり,RNA医薬・診断への応用まで
  • 【出版社名】羊土社

お近くに取扱書店が無い場合,特に海外でご覧になりたい場合,羊土社HPでのご注文および発送も承っておりますので,下記ご参照のうえ,注文をご検討ください.

羊土社HPでのご注文について

本書を羊土社HPにてご購入いただきますと,本体価格に加えて,送付先・お支払い方法などにより下記の費用がかかります.お手続き等詳細は書籍購入案内のページをご参照ください.

分類 項目 費用
国内 消費税 +540円
送料 0円(5,000円以上,国内送料無料)
手数料(代引きのみ) +300円
海外 航空便送料 第1地帯(アジア、グアム、ミッドウェイ等) +890円
第2地帯(オセアニア、中近東、北米、中米) +1140円
第2地帯(ヨーロッパ) +1140円
第3地帯(アフリカ、南米) +1490円
EMS便送料 第1地帯(アジア、グアム、ミッドウェイ等) +1540円
第2地帯(オセアニア、中近東、北米、中米) +2180円
第2地帯(ヨーロッパ) +2400円
第3地帯(アフリカ、南米) +2740円

※この表は本書のみご購入いただいた場合の費用をまとめたものです.他の書籍を同時に購入する場合はお申し込み金額や重量により費用が異なってまいりますのでご注意ください.

こちらの書籍もお勧めいたします

  • 9784758122771
  • 9784758122757
  • 9784758104227
  • 9784758104210
  • 9784758122726
  • 9784758121309
  • 9784758104166

本書が販売されている主な電子書店をご紹介いたします

電子版を購入する