実験医学増刊 Vol.28 No.7

細胞死研究総集編

アポトーシス・非アポトーシスの誘導機構から生体機能への関与,癌・糖尿病・神経変性疾患などの病態メカニズムまで

  • 三浦正幸/編
  • 2010年04月20日発行
  • B5判
  • 225ページ
  • ISBN 978-4-7581-0306-0
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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近年,アポトーシスのみならず非アポトーシスの実行機構についても注目されるようになり,様々な生命現象や病態メカニズムにおいて関連性が示唆される細胞死研究.多分野に広がる研究の最新知見を凝縮した決定版!

目次

概論 様々な生命現象に関わる細胞死研究の魅力とその生理機能解明【三浦正幸】

  • 細胞死の検出と分類
  • 細胞死の機能
  • 細胞死の基本メカニズムと生体機能
  • 細胞死と疾患

第Ⅰ部 細胞死とシグナル

第1章 ストレスと細胞死

1.ストレス応答キナーゼシグナルによる細胞死のバランス制御【松沢 厚/一條秀憲】
  • ストレス応答キナーゼJNK,p38と細胞死
  • JNK,p38による細胞死誘導メカニズム
  • ストレス応答キナーゼASK1と細胞死シグナル制御機構
  • ストレス応答シグナルの持続的活性化と細胞死誘導メカニズム
  • ASK1依存的細胞死の生理機能と疾患との関連
2.ROSによる細胞死および生体反応の調節─細胞死から組織修復さらにはがん化へ【中野裕康】
  • 細胞内におけるROS発生の場
  • 積極的なROS産生のマシナリーNoxファミリー分子
  • 転写因子NF-κBによる細胞死制御とROS
  • ROSと組織修復さらにはがん化へ
3.非アポトーシス細胞死研究の現状と展望【松岡洋祐/辻本賀英】
  • 細胞死の分類
  • 生理的細胞死(発生途中や組織の恒常性維持のために生体内で起こる細胞死)
  • 病理的細胞死(感染や疾病が原因となって起こる細胞死)

第2章 核と細胞死

1.DNA傷害によるキナーゼ活性化機構とアポトーシス誘導制御【吉田清嗣】
  • ATM遺伝子とその機能
  • Chk2の活性化機構とシグナル伝達
  • DNA傷害におけるc-Ablの活性化とアポトーシス誘導
  • PKCδによるDNA傷害依存的なアポトーシス誘導制御
  • DYRK2によるp53の制御とアポトーシス誘導
2.発生過程におけるアポトーシスの新しい制御機構:クロマチンリモデリングによるp53のエピジェネティックコントロール【西山正章/中山敬一】
  • 発生過程におけるp53の役割
  • p53の制御モデル
  • 初期発生においてp53機能を抑制するCHD8
3.異常な四倍体細胞を除去する細胞死機構【小林洋平/米原 伸】
  • 異常な四倍体細胞の形成機構
  • 異常な四倍体細胞と癌化
  • 異常な四倍体細胞とp53
  • 異常な四倍体細胞に誘導される細胞死
4.p53を介した細胞死の制御メカニズム【政井一郎】
  • 細胞死におけるp53の役割
  • ゼブラフィッシュを用いたp53依存性の細胞死の研究

第Ⅱ部 細胞死の関わる生命現象

第3章 細胞貪食

1.MFG-E8およびTim4を介したアポトーシス細胞の認識・貪食機構とその破綻【山口裕嗣/長田重一】
  • 食細胞は標的細胞の生死をどのように見分けるのか?
  • アポトーシス細胞を認識する分子
  • アポトーシス細胞が適切に貪食されないと何が起こるのか?
2.アポトーシス依存的な細胞貪食による生体恒常性の維持【白土明子/中西義信】
  • アポトーシス細胞貪食のしくみ
  • 生体恒常性の維持につながるアポトーシス細胞貪食
  • 微生物によるアポトーシス細胞貪食機構の利用
  • アポトーシス細胞貪食と病気との関係

第4章 発生における細胞死

1.生き物の「形」をつくる細胞死【倉永英里奈】
  • 器官形成における細胞死の古典的な役割?組織除去,彫塑
  • 器官形成における動力としての細胞死の役割
2.なんのために細胞は死ぬのか?─神経系発生発達期におけるプログラム細胞死の意義【山口良文】
  • 初期神経発生過程におけるプログラム細胞死
  • 神経回路形成過程における細胞死
  • 成体神経新生過程における細胞死
3.神経栄養因子によるニューロンの維持と細胞死【上坂敏弘/榎本秀樹】
  • NGFによる交感神経節後ニューロンの生存維持
  • NTによる生存維持と細胞死誘導
  • NTと知覚ニューロンの生存
  • 神経細胞死と軸索変性
  • 運動ニューロンのPCD
  • 腸管ニューロンの生存シグナル
4.筋分化過程での細胞運命決定にかかわる小胞体ストレスシグナル【森島信裕】
  • 骨格筋分化に伴うアポトーシス
  • 筋線維形成に伴う小胞体ストレスシグナル系の活性化
  • 筋分化における小胞体ストレスシグナルの役割
5.脳の性差形成と細胞死【木村賢一】
  • ショウジョウバエの性決定
  • ショウジョウバエの性行動とfruitless遺伝子
  • 脳の性差とその機能
  • 脳の性差形成と細胞死

第5章 細胞増殖と細胞死

1.癌治療におけるp53依存性アポトーシスの意義【北川麻弓/佐谷秀行】
  • ゲノムの守護神p53
  • 癌遺伝子産物Skp2によるp53依存的アポトーシス抑制機構
  • 転写因子E2F-1によるp53依存的アポトーシス誘導機構
2.状況依存的細胞死シグナル制御による上皮のがん抑制【大澤志津江/井垣達吏】
  • 上皮に内在するがん抑制システム
  • TNF-JNK経路による状況依存的細胞死制御
  • 細胞間コミュニケーションを介した上皮の「安全装置」とその破綻による腫瘍悪性化
3.細胞競合の分子機構【松田七美】
  • リボソームタンパク質の機能欠失により誘導される細胞競合
  • dMycにより誘導される細胞競合
  • 細胞競合の解析モデル
  • 細胞競合研究の今後の課題

第6章 再生と組織再編成

1.肝再生:細胞死と細胞増殖・成長の分子機構【尾崎倫孝】
  • マウス肝再生の制御機構
  • 肝再生における細胞増殖,細胞成長と細胞死(Jak/STAT3およびPDK1/Aktの役割)
  • 種々の病態における肝再生と細胞死
2.骨における細胞死:骨のモデリングとリモデリング【松尾光一】
  • 骨格のモデリングと軟骨細胞死
  • 骨リモデリングと破骨細胞死
  • 骨折修復のトリガーとしての骨細胞死
  • 関節軟骨の細胞死
  • アポトーシス関連遺伝子改変マウスと骨
3.「増殖か,死か」:組織再生における増殖細胞の生存戦略【川上厚志】
  • 多細胞体の組織ホメオスタシス
  • 魚類における組織再生
  • 幼若組織を用いた再生過程の解析
  • 変異体における再生の異常
  • clocheにおける細胞死のメカニズム
  • アポトーシスの起こる細胞の決定機構
4.腸幹細胞系における細胞死とその役割【高島茂雄/安達 卓】
  • 哺乳類の小腸
  • ショウジョウバエの中腸
  • 哺乳類の大腸
  • ショウジョウバエの後腸
5.細胞死制御を応用した組織再生モデル系の構築【菅田浩司】
  • ショウジョウバエ幼虫組織の再生
  • 遺伝学的手法による遺伝子発現のコントロール
  • 時限的細胞死による非侵襲的な組織除去
  • 再生組織における位置情報の獲得
  • 組織再生を促す分子メカニズム
  • WgはNotchの発現を抑制することによりMycの発現を誘導する
  • Mycの過剰発現は組織再生を促進させる
  • 今後の展望

第Ⅲ部 細胞死と疾患

第7章 炎症と危険信号

1.危険信号センサーとしてのインフラマソーム【野口拓也】
  • 危険信号受容体としてのNLR
  • NALP3インフラマソーム
  • ピロトーシス
2.HMGB1:死細胞が知らせる危険【風間啓敬】
  • HMGB1の機能
  • HMGB1受容体
  • アポトーシス細胞におけるHMGB1の動態と活性調節

第8章 疾患と細胞死

1.虚血性細胞死とオートファジー【内山安男】
  • 積極的な細胞死と受け身の細胞死
  • カスパーゼに依存しない積極的な細胞死
2.糖尿病における膵β細胞死【石原寿光】
  • 膵β細胞の増殖能
  • 膵β細胞死
  • 環境ストレスと膵β細胞死
  • タンパク質合成制御と細胞死
3.死細胞処理と自己免疫寛容【田中正人】
  • 死細胞貪食の異常と自己免疫疾患
  • 死細胞貪食を介した自己免疫寛容維持機構とその応用
  • 死細胞貪食による免疫抑制の疾患治療への応用
  • 死細胞貪食による免疫抑制に関与する細胞群
  • 今後の展望
4.神経変性疾患における細胞死研究のパラダイムシフト【山中宏二】
  • 神経変性疾患における細胞死研究の流れ
  • 神経変性疾患における非アポトーシス細胞死
  • ALSにおける非細胞自律性の神経細胞死:研究の流れと新たな細胞死概念の確立

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  • 【本書名】実験医学増刊:細胞死研究総集編〜アポトーシス・非アポトーシスの誘導機構から生体機能への関与,癌・糖尿病・神経変性疾患などの病態メカニズムまで
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