実験医学増刊 Vol.30 No.17

活性酸素・ガス状分子による恒常性制御と疾患

酸化ストレス応答と低酸素センシングの最新知見からがん,免疫,代謝・呼吸・循環異常,神経変性との関わりまで

  • 山本雅之/監,赤池孝章,一條秀憲,森 泰生/編
  • 2012年10月19日発行
  • B5判
  • 219ページ
  • ISBN 978-4-7581-0326-8
  • 5,940(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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無秩序な破壊分子ではない,活性酸素の多彩な役割を総解説!シグナル伝達を介した恒常性制御機構,NO等のガス状分子との相互作用,疾患の病態解明・治療に迫る成果や低酸素応答の新知見など,注目トピックスが満載

目次
概論 活性酸素によるレドックス恒常性制御の新たなパラダイム転換に迫る【赤池孝章】
  • レドックス恒常性制御におけるシグナル伝達
  • レドックス恒常性制御におけるROSとガス状分子のクロストーク
  • ROSのシグナル機能を担うセカンドメッセンジャー
  • おわりに-活性酸素シグナル・酸化ストレス研究の課題と今後の展開

第1章 活性酸素・ガス状分子シグナルとレドックス恒常性

Ⅰ.活性酸素種

1. NoxファミリーオキシダーゼとROSシグナル形成機構【宮野 佳/住本英樹】
  • Noxファミリーの構造
  • Noxファミリーの役割
  • Noxファミリーの活性化機構
2. 活性酸素種への細胞応答を担うストレス応答キナーゼの新たな制御機構【武田弘資】
  • ASK1の持続的活性化とROS応答
  • p38による生存シグナルを制御するRit GTPase
  • ショウジョウバエモデルから明らかとなったROS応答におけるJNKの新たな機能
  • ROSによる新たな制御機構を提示するHIPK2
3. 活性酸素シグナルと概日リズム【平山 順/仁科博史】
  • 概日リズムをつくり出す分子時計
  • 活性酸素シグナルを介したゼブラフィシュ分子時計の光同調
  • 活性酸素シグナルに依存したアカパンカビ分子時計の日周性形成
  • 哺乳動物細胞の酸化還元ホメオスタシスにおける時計タンパク質の役割
  • 細胞内酸化還元ホメオスタシス制御機構と分子時計の共進化の可能性
4. 活性酸素種で活性化する転写経路のクロストーク―Nrf2/Keap1経路を中心に【丸山敦史/伊東 健】
  • Nrf2/Keap1経路は環境ストレスから生体を守る
  • Nrf2機能発現は分解と核内転写共役因子により制御される
  • Nrf2/Keap1経路とp53経路のクロストーク
  • Nrf2/Keap1経路とNF-κB経路のクロストーク

Ⅱ.一酸化窒素・活性酸化窒素種

5. タンパク質ニトロシル化による細胞生死調節【上原 孝】
  • NOの細胞死抑制機構
  • NOの細胞死惹起機構
  • トランスニトロシル化を介した調節機構
6. 一酸化窒素由来ストレスの制御とシグナル機構の維持【松本明郎】
  • はじめに-細胞間情報伝達制御機構の解析
  • 一酸化窒素(NO)はなぜ注目を集めたか?
  • NOによる細胞間情報伝達系の特徴
  • シグナル安定化のためのSNO変換とシグナル伝達
  • 細胞膜通過におけるSNOの特徴
  • 流入シグナル制御の必要性
  • NOシグナル制御のためのNO消去系,破綻と疾患
  • 気管支喘息
  • 敗血症
  • 腸管出血性大腸菌感染とHUS発症

Ⅲ.親電子シグナル

7. ROS・親電子リガンドとガス状分子のシグナルネットワーク【澤 智裕/赤池孝章】
  • H2Sの生成と分解
  • ROS・親電子リガンドによるシグナル伝達とH2Sによるその制御
8. 環境中親電子リガンドの細胞内侵入とそれに伴うシグナル伝達の模倣および撹乱【熊谷嘉人】
  • システインの修飾を介したシグナル伝達
  • 内因性親電子リガンドと親電子シグナル
  • 環境中親電子リガンドによるシグナル伝達
  • 環境中親電子シグナルの制御系

第2章 酸素・ガス状分子,活性酸素,低酸素センシング

1. TRPチャネルを介した酸素・活性酸素種センシング【植田誉志史/高橋重成/森 泰生】
  • TRPチャネル:物理・化学的な環境変化を感知するセンサー
  • TRPチャネルによるROSセンシング
  • TRPA1チャネルによる低O2・高O2分圧センシング
2. ガス分子による代謝システム制御機構の探索と解明【末松 誠/中西 豪/梶村眞弓】
  • ヘムオキシゲナーゼ-CO系を介した肝類洞血流調節作用:soluble guanylate cyclaseの役割
  • メタボロームによるCOの新標的分子の探索:CO受容体としてのCBSの発見
  • CO/CBS/H2S系によるneurovascular unitにおけるエネルギー代謝制御機構の発見
3. 活性酸素センサータンパク質【船戸洋佑/三木裕明】
  • チロシンホスファターゼ
  • チオレドキシン(TRX)ファミリータンパク質
  • その他の活性酸素センサータンパク質
4. ニューログロビンの生理機能の探索と新規機能性タンパク質の創製【若杉桂輔】
  • ニューログロビン(Ngb)とは?
  • 酸化ストレスに伴うヒトNgbの細胞死抑制機構の解明:GDI活性の重要性
  • 魚類Ngbの「細胞膜貫通特性」の発見
  • タンパク質のモジュール構造に基づく新規機能性タンパク質の創製

第3章 酸化ストレス・低酸素応答と制御破綻

Ⅰ.発がん,がん進展と酸化ストレス・低酸素応答

1. 酸化ストレスによるゲノム変化と発がん【赤塚慎也/豊國伸哉】
  • 酸化ストレスの発がんへの関与
  • 発がん過程における酸化ストレスの多面的な作用
  • 鉄を介した酸化ストレス発がんモデルにおける標的遺伝子
  • 酸化ストレスによるゲノム変化の網羅的な解析
2. 活性酸素種によるリン酸化シグナルの制御と炎症・発がん【鎌田英明】
  • ROSによるリン酸化シグナルの制御機構
  • NF-κBのシグナル系におけるROSとリン酸化のクロストーク
  • ROSによるリン酸化シグナル制御と炎症・発がん
3. がん細胞の低酸素応答【井上正宏】
  • がんの低酸素応答
  • 低酸素応答の分子メカニズム:HIF
  • 低酸素によるmTOR活性の抑制
  • 小胞体ストレス
  • tumor dormancy
  • tumor dormancyのメカニズム
  • tumor dormancyとoncogenicな変化

Ⅱ.炎症・免疫応答

4. 酸化ストレスによる生体の恒常性維持機構─炎症,組織修復への関与【仁科隆史/中野裕康】
  • 細胞死と酸化ストレス
  • 組織修復と酸化ストレス
  • 酸化ストレスと組織修復を仲介する新たな因子の同定
5. 活性酸素およびヘムによる形質細胞分化の調節【武藤哲彦/松井(渡部)美紀】
  • B細胞受容体(BCR)シグナル伝達経路
  • BCRシグナルによるB細胞活性化応答の調節
  • BCRシグナル伝達におけるROSの役割
  • ROSによる転写因子Bach2の活性制御
  • ヘムによる転写因子Bach2の活性制御
  • ヘムは形質細胞の分化誘導を促進する
  • 形質細胞分化とROS

Ⅲ.代謝,タンパク質分解

6. 代謝リプログラミングにおける酸化ストレス応答機構の役割【田口恵子/本橋ほづみ】
  • がんと代謝
  • 生体防御機構Keap1-Nrf2制御系
  • がん細胞におけるNRF2の恒常的安定化
  • がん細胞におけるNRF2の役割
  • 増殖シグナルによるNrf2機能増強
7. 膵β細胞における低酸素応答と糖代謝異常【佐藤叔史/山縣和也】
  • 細胞の低酸素化メカニズム
  • HIF-1αによる低酸素応答
  • 糖尿病における膵島低酸素
  • β細胞におけるHIF-1αの機能
  • 糖尿病における各種臓器の低酸素
8. 酸化ストレスとプロテアソーム機能制御【濱崎 純/村田茂穂】
  • 酸化ストレスとプロテアソーム
  • 酸化ストレス時のプロテアソーム転写制御
  • 酸化タンパク質の分解機構
  • 酸化ストレス下のプロテアソーム機能制御と分子多様性

Ⅳ.心血管,呼吸器病態

9. レドックス恒常性と心筋リモデリング【西田基宏/北島直幸】
  • 心臓におけるレドックス恒常性制御
  • ROSによるタンパク質酸化修飾の可逆性
  • 一酸化窒素(NO)による心筋リモデリング制御
  • 親電子物質の標的分子H-Rasと心筋老化
  • 硫化水素による心筋老化抑制の分子機構
10. 心筋におけるミトコンドリア酸化ストレスと細胞内応答【井手友美/筒井裕之】
  • ミトコンドリアにおける酸化ストレスの産生
  • ミトコンドリアによるNO産生
  • 心機能傷害とミトコンドリア抗酸化酵素の関係
  • レドックスシグナルとしてのミトコンドリア酸化ストレス
11. 慢性閉塞性肺疾患と酸化・ニトロ化ストレス【杉浦久敏/一ノ瀬正和】
  • COPDとは
  • COPDにおける酸化・ニトロ化ストレス

Ⅴ.神経

12. 家族性筋萎縮性側索硬化症における酸化ストレスの関与【藤澤貴央/一條秀憲】
  • ALS
  • ALSと酸化ストレス
13. 神経変性疾患における酸化ストレスと一酸化窒素【香月博志/倉内祐樹】
  • パーキンソン病の病理形成への活性酸素種・活性酸化窒素種の関与
  • 活性酸素種・活性酸化窒素種に対するドパミンニューロンの防御システム
  • NOシグナルによるドパミンニューロン保護

第4章 活性酸素・ガス状分子研究の最先端技法

1. 親電子修飾シグナルのケミカルバイオロジー解析【内田浩二】
  • 身の回りの親電子化合物
  • 親電子修飾シグナルのケミカルバイオロジー解析研究
2. 新規化学蛍光プローブの活用による種選択的ROSイメージング【浦野泰照】
  • 化学蛍光プローブの論理的設計
  • 各種ROS,および関連酵素活性の選択的検出を可能とする蛍光プローブの論理的開発
3. 光作動型ドナー開発による活性酸素・一酸化窒素供与の時空間制御【中川秀彦】
  • 時空間制御されたNO・活性酸素供与
  • 光制御NOドナー
  • 光制御活性酸素ドナー:ONOO-ドナーの例
4. 硫化水素と硫化水素シグナル関連物質の検出・定量【居原 秀/井田智章】
  • H2SとH2Sシグナル関連物質
  • H2Sの定量
  • H2Sシグナル関連物質の定量
書評・感想
  • ROSシグナル,さらにそれが関与する疾患が良くまとめられており,とてもわかりやすかった.(国立大学教授)

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