レジデントノート:心エコー まずはこれから、FoCUS!〜ゼロから身につく心臓POCUSの診療への活かし方
レジデントノート 2022年9月号 Vol.24 No.9

心エコー まずはこれから、FoCUS!

ゼロから身につく心臓POCUSの診療への活かし方

  • 山田博胤,和田靖明/編
  • 2022年08月10日発行
  • B5判
  • 154ページ
  • ISBN 978-4-7581-1685-5
  • 2,200(本体2,000円+税)
  • 在庫:あり

特集にあたって

特集にあたって

山田博胤1),和田靖明2)
(徳島大学大学院医歯薬学研究部 地域循環器内科学1),山口大学医学部附属病院 循環器内科・検査部2)

 POCUSと心エコー図検査

エコー検査は,超音波診断機器の性能向上,小型化や価格低下などによって普及が進み,ほとんどの診療科において,多くの医師が最も手軽に活用する画像診断となりました.そしてその活用方法も多様化し,以前は検査室にある据え置きの装置で検査をすることがほとんどでしたが,近年は装置を患者さんの傍にもってきて検査を行う機会が増えています.そのような患者さんを診療(care)する場所(point)で行う超音波検査は,point-of-care ultrasound(POCUS)と呼ばれています.

さて,多領域にわたる超音波検査のなかでも,心エコー図検査は患者さんの病態評価にたいへん有用であるため,多くの研修医が,そのテクニックを身につけたいと切望する技術の1つです.しかし,心エコー図検査を体系的に学ぶ機会に恵まれている研修医は多くないでしょう.また,上手く描出ができない,描出できてもどこを診たらよいかわからない,という研修医の声を耳にすることも多いです.そこで今回は,初期研修医でもこれだけは身につけてもらいたい「心エコーの描出手技」と「心エコーを活かした診療」を学べる特集を企画しました.

 研修医がまず身につけたい「FoCUS」

研修医が心エコー図検査を体系的に学ぶのは,かなり高いハードルだと思います.では,初期研修医はどこから取り組めばよいのでしょうか? その問いの答えとしてわれわれは,心臓領域のPOCUSとして世界的に最も普及しているFocused Cardiac Ultrasound(FoCUS)を心エコー図検査につながる初期研修医のためのスタートラインにしようと考えました.厳密にいえば,FoCUSと心エコー図検査は似て非なるものです.FoCUSは,3アプローチによる5つの基本断面を用いて,断層法のみの観察を行うもので,計測を行わない目視による評価で限られた項目を確定するプロトコールです.したがって,心エコー図検査と異なり,原則的には断層法のみでドプラ法は使用せず,定量評価を行わない代わりに「あり/なし」という定性評価を行います.基本的なFoCUSの評価項目(Basic FoCUS)をに示します.これが心臓領域のエコー評価として初期研修医に最低限習得してほしい最初の到達目標です.FoCUSの目的は,心疾患の診断ではなく,あくまで血行動態異常の原因が心臓であるかどうかを判断し,異常を検出した場合に可及的すみやかに心エコー図検査を施行することです.ただし,これだけでは大動脈解離や急性冠症候群を見落とさないとも限らないので,本特集ではアドバンス的な評価項目も多少加えました(Advanced FoCUS).Basic FoCUSに加えてAdvanced FoCUSも学ぶことで,臨床現場でより実践的に使えるFoCUSを習得していただけると思います.

われわれ編集者の2人が中四国出身であることもあり,中四国地方で心エコー図検査を活用しながら臨床をされている比較的若手の先生方に本企画の執筆をお願いしました.臨床では,知識を蓄えるだけでは意味がありません.そこに実践が伴ってこそ,蓄えた知識が活かされます.この特集にはすぐに役立つ実践的な内容がぎっしりと詰め込まれています.1人でも多くの初期研修医が実臨床で患者さんに寄り添うためのツールとして心エコーを活用して“知行合一”を体感できるようになる特集となれば幸いです.

著者プロフィール

山田博胤(Hirotsugu Yamada)
徳島大学大学院医歯薬学研究部 地域循環器内科学
FoCUSはCardiac Ultrasound,心エコーはEchocardiographyで,欧米でも異なる手技とされています.本特集を読んで,FoCUSと心エコー図検査の違いを理解し,すべての医師がFoCUSを活用できるようになってほしいです.そうすれば,きっと多くの患者さんがその恩恵にあずかり,社会に貢献することができるでしょう.和田先生と私はEchoBoys116として,FoCUSの普及に尽力して参ります.The Echo WEBでお会いしましょう.

和田靖明(Yasuaki Wada)
山口大学医学部附属病院 循環器内科・検査部
「FoCUSは心エコーの習得に尻込みしている人たちの入り口になり得ると思うから一緒に広めよう!」と山田先生に誘われたときには,本特集を共同編集するようになるとは想像していませんでした.
スマート機器の普及とともに社会が激変したように,FoCUSの普及が拡がれば日常診療をもっと良い方向に導けます.EchoBoys116はFoCUSに取り組む皆さんを応援しています!

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心エコー まずはこれから、FoCUS!

ゼロから身につく心臓POCUSの診療への活かし方

  • 山田博胤,和田靖明/編
  • 2,200(本体2,000円+税)
  • 在庫:あり