突然,外国人患者が来院したらどうする? 外国人の外来・入院に備えて何を準備すべき? そんな悩みをもつ医師や医療事務員,病院管理者におすすめ!外国人医療の場で必ず起こる問題とその解決方法をすべて記載!
◆タイムリーな実用書に拍手◆ 門下生の増井先生がまたまたヒットを放ちました. この本の特徴はまず第一に,ERで救急医として働く著者の実際の苦悩体験から書かれていることです.急速に増えつつある外国人の診療が,われわれの新たな,しかも今後急速に大きくなるニーズであることは言うまでもありません.ERで救急医はこの問題に真っ先に直面し苦悩します.その問題を解決するために試行錯誤して工夫や智慧が生まれます.この本にはその工夫や智慧が書かれています. 第二の特徴は,医学的なことより「コトバとおカネの問題」というきわめて現実的な対応策に重点が置かれていることです.医師の書く本は往々にして診療面,特に医学的なことが中心で,他の医療職が直面する問題には舌足らずなものになりがちです.しかし,この本に関してはそれはありません.医師以外の職種の苦悩にも目を向け,彼らを支援する著者の気持ちが書かせた本と言えるでしょう.外国人診療問題は医師だけなく病院全体で取り組むべき新たなニーズであることが力説されています. 第三の特徴は,著者が実際にやってみた工夫や挑戦で有効でなかったものも克明に描かれていることです.多くの本は成功体験が中心で,「○○が役に立つ」という書き方になりがちです.しかしこの本は「○○は役に立たないからやめたほうがいい」という指摘が何カ所も出てきます.著者たちが実際にやった工夫や挑戦に関してなぜダメだったのか,その理由も書かれています.失敗を隠さずオープンにして教訓を共有することから進歩が生まれるという著者の信条が書かせた本と言えるでしょう. 書評を書くためにいただいた二冊のうちの一冊を,私の病院の事務担当者にあげたところ,「こんな本がほしかったのです!」と彼女は満面の笑みをたたえていました. やりたいことではなく求められていること,新たに発生しつつある現場のニーズに合わせて進化すること,それらがERで働く救急医にとって最も大事だと教えてきました.この本は著者がその教え通りに生きている証であり,大きな喜びを感じました.東京オリンピック・パラリンピックが迫るこの時期に合わせてきわめてタイムリーな出版に心から拍手を送ります. 『Gノート2019年12月号』より転載
寺澤秀一(福井大学名誉教授)
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