痛みは,組織損傷などを生じるような有害な刺激から身を守るために必要な警告的感覚である.近年の神経科学的研究技術の発展によって,これまでわからなかった末梢での感覚センシング,脊髄後角での情報処理,脳での痛み生成に関する理解が,飛躍的に進展している.一方で,がんや糖尿病など多くの疾患で慢性化する痛みは,痛覚信号の持続的発生ということだけでなく,多種多様な変化による感覚伝達系の機能破綻が原因であることも分かってきた.さらに最近,痛覚神経が末梢組織や臓器,免疫系やがん細胞にも大きな影響を及ぼすという新しい役割も明らかになった.すなわち,痛覚システムの生体調節機構における幅広い役割は,生体の恒常性や病態メカニズムの解明に新しい切り口となる可能性がある. 津田 誠(九州大学大学院薬学研究院ライフイノベーション分野) 特集の概論を読む
痛みは,組織損傷などを生じるような有害な刺激から身を守るために必要な警告的感覚である.近年の神経科学的研究技術の発展によって,これまでわからなかった末梢での感覚センシング,脊髄後角での情報処理,脳での痛み生成に関する理解が,飛躍的に進展している.一方で,がんや糖尿病など多くの疾患で慢性化する痛みは,痛覚信号の持続的発生ということだけでなく,多種多様な変化による感覚伝達系の機能破綻が原因であることも分かってきた.さらに最近,痛覚神経が末梢組織や臓器,免疫系やがん細胞にも大きな影響を及ぼすという新しい役割も明らかになった.すなわち,痛覚システムの生体調節機構における幅広い役割は,生体の恒常性や病態メカニズムの解明に新しい切り口となる可能性がある.
津田 誠(九州大学大学院薬学研究院ライフイノベーション分野)
痛みはどのように発生し,多様な刺激をどう区別するのか?最新技術で痛みのメカニズムを解明し,「体への警告としてのシグナル」以外の痛みの役割にも迫ります.その他,新連載『論文査読のリアル』も注目です.
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