レジデントとして診療を始めてまず戸惑うことの1つに薬の名前がいっぱいあることであろう.学生時代には診断を教えられただけなのにいきなり治療をさせられるわけで,治療の中心になるのはムンテラではなく薬なので自分でも飲んだことのない薬を次から次へと症状にあわせて雪ダルマ状に処方するのでたちまち薬が多くなる.薬理学からはじまって内科,麻酔科,精神科などで薬はたくさん出てきたがこれらは化学名,一般名といわれる名前で覚えており,処方箋に記載する商品名としての薬の名前にはなじみがない.国家試験にも商品名は出てこない.ところが看護師や患者さんが口にするのは商品名である.この連載では薬品名の由来を検討することによって記憶を確かにし,まぎらわしい類似薬品名と明確に区別できるようにすることをめざしたい.