レジデントノートインタビューコーナー『あの先生に会いたい!』では,さまざまなフィールドでご活躍中の先生に,医師として歩んでこられた道のりや,現在,そして将来のこと,さらに私生活とのバランスの取り方などについて語っていただきます.また番外編では,本誌に収まりきらなかった内容をホームページ限定で紹介していきます.
高田先生:救急のイメージとして“三次救急で入ってくる所から専門家へのつなぎ”と考えている先生がいます.おそらくERの実際がわからないのではないでしょうか.そういう先生が学生に対して「救急に行ったってサブスペシャリティなんかないだろう」という言い方をされると思うのですが,そういうものはどのように身につけていけばいいのでしょうか.
今先生:そうですね,サブスペシャリティというのは救命救急の幅の広さ,深さ,それから,どれくらいの患者さんを診ることができるかを知らない人が言っていると思うのですよ.「救命救急はこんな感じ」「心臓外科はこんな感じ」「整形外科こんな感じ」…,そういう同じ柱の並びの1つとして救命救急があると考えると,当然サブスペシャリティというのが必要になってきます.そのなかでの脳外科や,集中治療,消化器の内視鏡というのが必要になってくると思うのですね.そうではなくて,「ほとんど全部が固まりとして救命救急なんだ」「救命救急の人たちは,結構全部できちゃう」と,そうすると別に,救命救急ということさえできれば,ほかにはいらないのです.
「何でもできます」というそれが自分のアイデンティティーなのです.「今まで心臓外傷と骨盤骨折,それから,インフルエンザに,子どもの風邪,老人の肺炎,床ずれ,糖尿病,さらに痔も診てますよ」「えっ,そんなに診られるのですか?」「実際,診ていますよ.どこか具合悪いところないですか?」「腹痛いんです」「腹も得意ですよ」…それでいいのではないでしょうか.大きな病院,もしくは大学病院に行けば,もしかしたらなんでも診るわけにはいかないので,そのときは「何科ですか」とかがやはり必要になるかもしれませんが,今のように市中病院でこういう体制でやる分にはサブスペシャリティはいりませんし,この延長で200床ぐらいの病院でもいりません.
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