本コーナーでは,さまざまなフィールドでご活躍中の先生に,医師として歩んでこられた道のりや,現在,そして将来のこと,などについて語っていただきます.2012年4月号では藤田保健衛生大学 総合救急内科の山中克郎先生にご登場いただき,名古屋第一赤十字病院 神経内科 後期研修医の安藤孝志先生にインタビュアーを務めていただきました.
安藤先生:興味のある分野は何かありますか.
山中先生:この1年くらいは,問診と,身体診察の技術を磨くことに興味をもっています.よくみんなには,「攻める問診」と言っているのですが,最初の3分間はじっと黙って患者さんの言うことを聞いていていいんです.でも,その3分間で3つぐらいに鑑別診断を絞り込まないといけません.その後は,例えば,頭痛の人が来て,片頭痛だと思ったら片頭痛の特徴的な症状を聞いていきます.「頭痛のとき,気持ち悪くなることはなかったですか?」「蛍光灯や光を見るとまぶしくて嫌じゃないですか?」というように片頭痛に特徴的な症状を矢継ぎ早にパッケージで攻めます.ただ単に患者さんの言うことを聞いていたら何も診断できないので,ある程度,鑑別診断がわかったら問診で攻めまくれと言っています.
そこが今の研修医の先生には足りないと思います.みんな,画像や検査に頼ってしまいます.時間はあるはずなのに患者さんのところに行かないんです.問診で80%は診断できると昔から言われています.さらに残りの20%のうち,10%は身体所見で診断できるので,身体診察もすごくよい武器になるときがあります.私自身の身体診察技術も高めて,研修医の先生に伝授したいと思っています.
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