第4回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 in 仙台 若手家庭医レポート 中村琢弥 (北海道家庭医療学センター) レジデントノート2013年9月号掲載 所属はレジデントノート掲載当時のものです [SHARE] ツイート 2013年5月17〜19日,震災の爪痕が残る宮城県仙台市にて第4回となる「日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(以後,本会)」が開催された.本会は「新しい地域医療を拓く 〜がんばろう日本〜」をテーマとして,震災を乗り越えるための医療連携システムの再編などの流れにおいて,日本のプライマリ・ケアの果たすべき役割を考えるという重要な位置づけをとっていた.本稿では本会を一参加者として過ごした若手家庭医の視点より,本会の模様と所感をレポートする. 新しい日本の“総合診療医”の時代の幕開け 本会の裏テーマともいえたのは,改革中の新専門医制度において「第19番目の基本専門領域」として位置づけられた「総合診療医」についてである.全体講演やシンポジウムなどでは日本医師会会長や厚生労働省医政局長などの重鎮を迎え,新しい地域医療システムのあり方や今後の医療政策の方向性などが提示された.この時代の流れのなかで,本学会では専門医制度改革の趣旨にいち早く対応するために後期研修プログラムの見直しを行い,学術集会において,来年度から新たに導入される「後期研修プログラムver.2.0」が発表された.これらの流れには一貫して「すべてはこれからのプライマリ・ケアのために」という意志を感じ,家庭医/総合診療医になりたいと医師を志した筆者としては,力強い時代の流れを感じるものであった. 若手からベテラン/多職種入り交じる会 ポスター発表の様子.多数の医学生や研修医の参加によって会場は熱気につつまれた. 本会では,ベテラン開業医,若手家庭医,病院総合診療医,他科専門医,看護師をはじめとしたメディカルスタッフなど多様なメンバーが参加しており,口頭演題やポスター発表などで活躍していたことも特徴的であった.また,いろいろなところで医学生や研修医が活躍しているシーン(例えば,全医学部におけるジェネラリスト学習会開催をめざす「80大学行脚プロジェクト」など)を目にするなど,本会の若手に勢いがあり,そのことが非常に本会全体の雰囲気をよい意味でフランクなものにしているように感じた. 日本のプライマリ・ケアの未来を感じさせる会 第4回を数え,盛会のうちに終えた本会では,発表内容の質が向上したとの感想が,複数名の参加者から聞かれた.総合診療医や専門医制度の件も含めて,時代の流れは今この業界に確かに向いている.そんななか,若手の熱意あふれる本会の成長は日本の地域医療,プライマリ・ケア業界の未来が明るいことを示すには十分なものだったのではないだろうか.来年第5回の本学術大会は岡山で開催される予定である.今後の本会の発展が一人の日本の若手家庭医として楽しみでならない.